日本での販売開始を19日に控えたiPhone 6とiPhone 6 Plus。2系統のラインナップとなって2代目のモデルとなるが、今回のアップデートでは、画面が大きくなったこと以外に、Appleがある方向に舵を切ったように見えるところがある。本稿では、その「ある方向」について考察しながら、iPhone 6とiPhone 6 Plusの魅力を探っていく。

左がiPhone 6で、右がiPhone 6 Plus

これまでのiPhoneと大きく異なるのは、やはり液晶ディスプレイのサイズだ。iPhone 5が発表された時、従来の3.5インチから4インチにディスプレイサイズが変更になったが、iPhone 6は4.7インチ、iPhone 6 Plusでは5.5インチとさらに大きくなった。名称も「Retina HD ディスプレイ」へと変更。その名の通りiPhone 6は1,334×750ピクセルと、720P以上の解像度、iPhone 6 Plusは1,920×1,080ピクセルのフルHDと、HD画質の解像度となっている。また、iPhone 6 Plusはppiもスペックアップしており、326ppiから401ppiと、さらに高精細化している。数字では分からない部分でも性能は向上しており、iPhone 5sと比較して、明らかに彩度、コントラストが高い。内部は、ガラス、偏向板、IPSディスプレイ、バックライトの4層構造となっており、特に偏向板は改良が加えられ、室内、屋外問わず、鮮明な色で見ることができる。

標準と拡大という2モードの表示方法

iPhone 6 Plusではランドスケープ(横向け)表示に対応

表示方法も標準と拡大の2モードが用意されており、拡大表示では、アプリのアイコンはもちろん、文字も大きく表示される。年配の方には嬉しい機能だ。また、iPhone 6 Plusではランドスケープ(横向け)表示に対応。「メール」や「カレンダー」などのアプリはこのために設計しなおされているという。ちょっとiPadっぽく使えるのであるが、サイドバーがあって、コンテンツが表示されるという形は、見たい知りたい情報に、素早くアクセスでき、使い勝手の向上に一役買っている。

片手での操作をフォローする「Reachability」機能

ホールド感を高めるための丸みを帯びたデザイン

画面が大きくなると、女性や小さなお子さん、手の小さい方には片手で操作するのがやや厳しくなるが、それをフォローする機能も装備している。それがiOS 8で採用された「Reachability」である。これはホームボタンを2回タッチすると起動し、見ている画面全体が下方向にスライドする。画面上部のほうにボタンやアイコンがあって、指が届かない場合、とても重宝する機能だ。「タップ」でなく、「タッチ」で起動するというのもポイントで、指の動きが大きくなることで端末を落としてしまう危険を回避する設計となっている。iPhone 5sと比較して薄くなった本体(iPhone 5sは厚さ7.6mm、iPhone 6は6.9mm、iPhone 6 Plusは7.1mm)もグリップ感を高めており、滑落防止の配慮は、やや丸みを帯びたフォルムにも表れている。また、電源ボタンも本体側面の押しやすい位置に移動しており、片手での操作性を落とさないようにするにはどうしたらいいか?という点にフォーカスした構造を採用している。