「高いカスタマイズ性」という付加価値をつけることに成功したApple Watch

ケースには右側に回転させて操作するリューズのような「デジタルクラウン」とボタンが集められている。現段階では、右利きの人が左手に装着して使う、という前提でしか作られていないようだ。「デジタルクラウン」は側面の高さの中心ではなく、操作しやすいように、ガラスの表面とクラウンが揃えてある。

装着すると、高さは海外の自動巻時計と同じ程度という印象だ。ケースの背面には心拍センサーが内蔵されており、ルーズに遊びを持たせるのではなく、ぴったりと装着するよう説明員から指導を受けた。筆者は普段、「G-SHOCK」(カシオ製)のシンプルなアナログ・デジタルのコンビネーションウォッチと、オメガの手首に収まる程度の文字盤の「スピードマスター」を愛用しているが、「スタンダード」の42mmを装着してみたところ、オメガの時計と同じ程度に感じた。

そのオメガの時計の方が、Apple Watchよりも、メタルの質感を存分に楽しめる重厚感があった。バンドもさることながら、ケースの造作はソリッドとしなやかな円とを組み合わせているこれに比べると、Apple Watchは幾分シンプルなケースであることがわかる。

アナログとデジタルを組み合わせた高いカスタマイズ性が最大の特徴となるApple Watch。時計として比較すると、電波×ソーラーで時計あわせや充電といったメンテナンスフリーの日本のデジタルウォッチと、高い質感と自動巻でメンテナンスが最小限で済むオメガの時計にも、充分な競争力があると考えられる。

裏を返せば、Apple Watchのデザインは、前述の通り幾分シンプルではあるが、時計として比較しうるレベルを実現し、デザインの面では、「高いカスタマイズ性という付加価値を付けることに成功した」、と見ている。

ちなみに、42mmと38mmの2つのモデルを腕に試してみた感想として、「小さいモデルでも良さそうだ」、という印象を受けた。42mmだと、少し手首の幅に余る印象がある。デジタル製品ではあるが、必ずしも大きな画面(=高スペック)の方が良い、と言うわけではないのだ。自分に合わせたサイズを選ぶと良いだろう。

38mm(手前)と42mm(奥)を装着してみた。筆者の腕には38mmのほうが合っていると感じた