大日本印刷(DNP)は9月9日、データの改ざんや漏洩を防止し、安全なM2M(Machine to Machine:機器間通信)サービスを実現する機器組み込み用モジュール「M2Mセキュアモジュール」の提供を開始すると発表した。

同製品は、外部からの不正アクセスなどに耐性のあるセキュアチップを搭載。セキュアブート機能により、立ち上げ(リセット)時に、機器の不正改造の有無を確認する他、機器のセンサが取得したデータから必要なデータを抽出して、セキュアチップを用いて暗号化する。さらに、クラウド接続用アプリケーションを用いて、クラウドサービスに接続して暗号化したデータを送信する。なお、提供されるモジュールは、セキュアチップと通信部品などをプリント基板に搭載したボード型であり、機器のOS、扱うデータの種類やサイズ、接続先のクラウドサービスの仕様などに合わせて、セキュアチップの性能、メモリ容量などを決定し、カスタムのハードウェア仕様で提供される。また、セキュアチップには、独自のセキュアブートアプリケーションなどが搭載されている。機器とのインタフェースは、I2C、SPI、GPIO、UARTなどに対応する。

この他、各種M2Mクラウドサービスを提供している伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、インヴェンティット、クオリカ、日立ハイテクノロジーズの協力により、M2Mセキュアモジュールの試作品と各社のクラウドサービスとのデータ通信において動作が正しく行われることが確認されている。

今後、DNPでは同製品をスマートメータ、自動車、FA機器、複合機、ATM、自販機などのメーカーへ販売していく。さらに、ウェアラブルデバイスなどの小型機器への組み込みに適した1チップ型モジュールを製品化するのに加え、ボード型モジュールを搭載したゲートウェイ端末の製品化も予定している。また、M2Mセキュアモジュールのセキュアチップに個人情報や鍵情報を安全に書き込んでアクティベート(有効化)などを行うための、リモート発行サービスも提供する。そして、M2Mクラウドや温度監視システムなどのクラウドアプリケーションも組み合わせて提供していく。これらのM2M関連ビジネスで、2017年度に10億円の売り上げを見込むとしている。

M2Mセキュアモジュールの試作品