米Intelは5日(現地時間)、最新の14nm製造プロセスを採用した低電力プロセッサ「Intel Core M」プロセッサを正式発表した。主に2 in 1デバイスをターゲットとしたプロセッサで、ドイツのベルリンにて開催中のIFA 2014では、「Intel Core M」プロセッサを搭載した製品が次々と発表されている。

「Core M」は、2014年6月に台湾で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2014で、Intelが存在を明らかにしたモバイル向けプロセッサブランド。14nm製造プロセスを採用した初めての製品となる。

「Core M」の概要

アーキテクチャの概要については2014年8月にすでに公開されている。第2世代のトライゲート(FinFET)トランジスタにより、前世代の「Haswell-Y」からトランジスタ数は1.4倍の13億個に増加、一方ダイサイズは「Haswell-Y」の131平方ミリメートルから82平方ミリメートルに縮小した。それに伴い。パッケージサイズも約50%の縮小、60%のTDPを実現した。

14nmプロセスでより集積度が増している

TDPは前世代から大きく削減。またパッケージサイズも小型化した

パッケージの小型化はそのまま基板、筐体の小型化につながる。TDPの削減は薄型デバイスでのファンレス化を実現する

Haswell-Yとのパッケージサイズ比較。左側がHaswell-Y、右側がCore M

ファンレス仕様の2in1デバイスに最適化された製品で、COMPUTEX TAIPEI 2014でも展示されたリファレンスシステム「Llama Mountain」では、12.5型QHDディスプレイを搭載し、厚さ7.2mmの本体でもファンレスで駆動していた。

Core Mがターゲットとするのはファンレスの2in1デバイス

リファレンスシステム「Llama Mountain」は厚さわずか7.2mmの薄型筐体ながらファンレスで駆動する

Llama Mountainは着脱式の2in1デバイス。COMPUTEX TAIPEI 2014では電源につながない状態で8時間以上駆動していたものとみられる

今回発表された「Core M」のSKUは「Intel Core M-5Y70」「Intel Core M-5Y10a」「Intel Core M-5Y10」の3モデル。いずれも2コア/4スレッドで、グラフィックスにはIntel HD Graphics 5300を統合する。TDPは4.5Wだが、Configurable TDP(cTDP)により、ある程度範囲内で設定することができる。

「Core M」のSKU

最上位の「Intel Core M-5Y70」は動作周波数がベース:1.1GHz、ブースト:2.6GHz、vProやIntel TXTに対応する。「Intel Core M-5Y10a」と「Intel Core M-5Y10」は、ともに動作周波数がベース:800MHz、ブースト:2.0GHzと一見同じスペックだが、cTDPで設定できる範囲がそれぞれ異なる。

パフォーマンスは、前世代の「Haswell-Y」と比較して、オフィスにおける生産性では最大19%、3Dグラフィックスで最大47%、Webアプリケーションのフォトエフェクトで最大12%、ビデオ変換で最大82%性能向上を実現する。

「Haswell-Y」とのパフォーマンス比較

4年前のシステムとの比較

一方、チップセットのさらなる省電力化により、バッテリ駆動時間も向上している。

バッテリ駆動時間もさらに向上している

Intelによると、現在20機種以上の「Core M」搭載デバイスが開発中で、2014年第4四半期に約5社のメーカーより「Core M」搭載デバイスが発売される予定とした。また、2015年初旬には幅広いフォームファクタ、価格帯の製品が登場するという。