カシオ計算機が1962年に発売した科学技術用計算機「AL-1」が、国立科学博物館が主催する2014年度重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)に登録された。AL-1のほか、2014年度は計49件の機器が登録となっている。

AL-1

未来技術遺産は、国立科学博物館が2008年度から実施している登録制度。「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」、および「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を図ることを目的とする。

AL-1は、プログラム機能が付いたリレー式計算機。歯数「60」の樹脂製歯車×6枚を用いてユーザー自身がプログラムを組み、あらかじめセットされた計算手順で自動的に計算を行える。歯車のユニットは着脱可能で、複数の計算手順を必要に応じて入れ替えることができ、官庁や大学で広く採用された。今回、電卓誕生前に一時代を築き、発達の過程を示す貴重な製品として、2014年度の未来技術遺産となった。

現在、AL-1の実物は、東京都世田谷区(小田急線・成城学園前駅から徒歩15分)の「樫尾俊雄発明記念館」に展示されている。この建物は、故・カシオ計算機 名誉会長 樫尾俊雄氏の自宅を改装したもので、数多くの貴重な資料を見ることができる。完全予約制で一般公開されているので、訪れてみてはいかがだろうか。詳細は樫尾俊雄発明記念館のWebサイトを参照いただきたい。

ちなみに、カシオ計算機が手がけてきた製品は、AL-1のほかにも未来技術遺産に登録されている。2008年度登録の「電子式卓上計算機 カシオミニ」、2009年度登録の「デジタルカメラ試作機DC-90(熱子/重子)」、2012年度登録の「液晶デジタルカメラ QV-10」、2013年度登録の「カード型電卓 SL-800」だ。