筑波大学と物質・材料研究機構(NIMS)は8月21日、ダイヤモンド中のカラーセンターの1つであるSiV-センターを高純度・高結晶性ダイヤモンド薄膜成長時に、極微量の濃度に制御して導入し、単一光子源として作製することに成功したと発表した。

同成果は、筑波大の磯谷順一名誉教授(前筑波大 知的コミュニティ基盤研究センター 主幹研究員)、NIMS 光・電子材料ユニットの寺地徳之主幹研究員らによるもの。ドイルのウルム大学のFedor Jelezko教授と共同で行われた。詳細は、「Nature Communications」に掲載された。

このダイヤモンド薄膜の極限成長技術によって、結晶内に明るく安定な単一光子源を、結晶中の離れた位置に多数作製することに成功した。さらに、結晶中の離れた位置に作製された単一光子源からは、2光子間で最大91%の大きな発光スペクトル重なりを実現した。これらの結果は、量子干渉を用いる量子光学、量子コンピューティング、量子情報ネットワークといった応用へ、固体中の単一光子源を用いるための重要な一歩として期待されるとコメントしている。

固体結晶にとって難題だった不均一なひろがりを解決し、識別することが困難な光子を発生する単一光子源を多数作製することに成功