世の中には、欲しくても手に入らないものが3つある。「片思いの異性の心」と「妖怪ウォッチ」、そして「PENTAX 645Z」だ。80万円(2014年7月時点での実勢価格)という本体価格ながら初回生産数は予約分で終了。その後も品薄が続いているという話題の中判デジタル一眼レフカメラは、はたしてどれほどの実力を持つのか。超高解像度(編集注:一枚につき8,256×6,192ピクセルです!)の実写作例とともにレビューをお届けしよう。

「PENTAX 645Z」

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実をいうと、私は今回の依頼を一度辞退したのだ。プロ機材の中判デジタルカメラのレビューを実写作例とともに引き受けるなど、いささか気が重いと……。照明機材が組まれたスタジオや世界遺産の絶景といった撮影でこそ、このカメラの真価が発揮されるのではないか、と……。しかし、担当編集のM氏は言った。「そういったプロの撮影環境にない、一般の写真愛好家でも買う価値、使う価値があるカメラかどうかを語って欲しいんです」

というわけで数日後、PENTAX 645Zが我が家にやってきた。レンズ未装着状態で、サイズは幅約156mm・高さ約117mm・奥行き約123mmと、立方体にグリップが付いたような異質な形状。ごく普通のデジタル一眼レフを見慣れた目には、やはり大きく感じる。重量は、バッテリーとメモリーカードを含めて1,550g。今回使用したレンズ「smc PENTAX-D FA645 55mmF2.8 AL[IF] SDM AW」の重量が416gなので、撮影状態で約2kgの重量だ。

多少の決心があれば、屋外に持ち出して使う気になれる大きさだ

かなり大きな印象があるが、実は女性が持ってもこの程度

しかし、実際にカメラを構えたときにそれほどの重さを感じさせないのは、重量配分とグリップ設計の妙だろう。今回、このカメラで3日間連続で撮影に臨んだが、最終日、腕に若干の筋肉痛を感じた程度だった。ちなみに筆者は、体格的にはごく普通のオジサンである。

次ページではまず、外観をチェックしていこう。