「こだわり」と「省略」のメリハリを極めた製品

こうした数々の機能を、約435gという本体のなかに詰め込んだ点では、パナソニックが培った携帯電話開発のノウハウがふんだんに生かされている。

パナソニックシステムネットワークスの望月賢一主任技師は、「業務用ハンディターミナルの重量は500g~800g程度が多い。それを下回るという点で、当初から400gを目標にしていた。最初の試作段階では、100gほどオーバーしたが、強度や堅牢性を犠牲にしない形で、様々な角度から軽量化を図っていった。基板を保護するシャーシ部には、マグネシウムを採用し軽量化を図ったのもその取り組みのひとつ」と説明する。

望月賢一主任技師

こうしてみると、FZ-E1およびFZ-X1には、過酷な現場で利用するシーンを想定し、それに対応する豊富な機能を盛り込んだことがわかるだろう。それだけに、機能優先、コストは二の次ともいえる商品づくりのようにも受け取れる。

そうした質問に対して、二文字屋参事は「実際にはコストに対する要求は極めて厳しい」と苦笑しながらも、「利用する現場で必要とされる機能の実現については、徹底的にこだわった。しかし、その一方で不要だと思われる部分に対するコストダウンは徹底的に行った。コンシューマ向けスマホでは必要とされるワンセグ機能やおサイフケータイ機能は最初から省く一方で、社員の認証などに必要とされるFeliCa機能は搭載した。インタフェースについても同様。こだわりの部分と、省く部分のメリハリが、この製品の特徴だ」とする。

二文字屋参事

FZ-E1およびFZ-X1は、電気、ガス、水道、公共といった、これまでTOUGHBOOKやTOUGHPADが利用されていた分野に加えて、運輸、物流、小売、製造といったバーコードや専用端末を利用する幅広い業界においても、「過酷な環境下で業務にICTを活用されるユーザー」を対象に、強力にサポートすることができるデバイスだといえるだろう。こうした顧客層からの要望に対しては、徹底したこだわりを実現した製品がFZ-E1およびFZ-X1というわけだ。

実は、日本以外で、米国でも同シリーズの発売が発表されている。

ここでは、日本にはないSIMフリー版をベースに、データ通信専用モデルやWi-Fi専用モデルなどの追加も発表されている。これらモデルの日本への投入については、「ユーザーの要求にあわせて検討していくことになる」とする。

日本では、FZ-E1がNTTドコモで、FZ-X1がauで取り扱われる。その後、この秋にはFZ-E1においてはau向けが、FZ-X1ではNTTドコモ向けが投入されることになる。

ユーザーの声を聞き、それに基づいて開発された新たなタブレットは、日本のみならず、海外でも注目を集めそうだ。