パナソニックは、電球1つで2つのあかりを実現するLED電球「明るさ・光色切替えタイプ」4機種を6月20日から発売した。これまでのLED電球は省エネ、長寿命が差別化ポイントであったが、今回の製品では光の質に焦点を当て、LED電球がもたらす新たな価値提案を行っているのが特徴だ。販売店からの反応もよく、予想を上回る店舗数で取り扱いが行われているという。

パナソニックが6月に発売したLED電球「明るさ・光色切替えタイプ」

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パナソニック エコソリューションズ社ライティング事業部ライティング機器ビジネスユニットLED光源グループ・西浦義晴グループ長に、同社の新たなLED電球の提案である「明るさ・光色切替えタイプ」の狙いなどについて聞いた。

LED電球に対する認知を広げるために購入する世代を広げたい

―― このほど発売した「明るさ・光色切替えタイプ」は、どんな狙いから商品化されたものですか。

パナソニック エコソリューションズ社ライティング事業部ライティング機器ビジネスユニットLED光源グループ・西浦義晴グループ長

西浦 パナソニックは2009年からLED電球の事業を開始していますが、これまで取り組んできたのは、まずは既存の白熱電球をすべてLED電球で置き換えられるようなバリエーション展開をするということです。省エネ化や環境対応への関心が高まるなかで、パナソニックの社会的責任という使命のもと、LED電球の品揃えに取り組んできました。

たとえば、白熱電球のガラスは透明ですから、LED電球でもそれと同じような見え方をする、伝統的な照明の趣きをもったクリア電球タイプを商品化したのはそのひとつです。従来の白熱電球から違和感なく移行するための提案です。さらに2013年秋には、白熱電球の100Wクラスをカバーする製品を投入しました。こうした取り組みによって、すべての白熱電球を置き換えるためのラインアップがほぼ完了したといえます。これによって、全体の28%がLED電球に置き換えられてきました。

この間、LED電球の訴求は、省エネや長寿命といった観点からのものでしたが、その一方で、このままの提案を続けても、置き換え率を28%から飛躍的に向上させるのは難しいだろうとも感じていました。そこで考えたのが、経済性の追求に加えて、快適さや安全性、利便性といった価値をLEDに乗せることができないかという点でした。それによって、LED電球の提案は新たなフェーズに入り、LED電球の認知をさらに高めることができるのではないかと考えたわけです。また、LEDの購入者の多くは40代、50代の男性が多いという傾向があります。LED電球に対する認知を広げるには、購入する世代を広げる必要もあります。今回の製品はそうしたことを狙った商品でもあるわけです。

既設のスイッチを利用して置き換えられる

―― 「明るさ・光色切替えタイプ」の特徴はどこにありますか。

ダイニング向けは、食事がおいしく見える色と、文字が読みやすい色に切り替えることができる

西浦 スイッチの操作によって、外周のLEDと内周のLEDの回路が切り替わる仕組みを採用したことです。これにより、既設のスイッチ構造をそのまま利用しながら、ランプ交換だけで、従来の電球から手軽に置き換えることができます。

ダイニング向けでは、食事の際はおいしく、勉強や仕事時には文字が読みやすいというように切り替えが可能であり、同様に、浴室向けでは、夏場やシャワー時には白さが際立つ昼光色に、冬場やくつろいで入浴したい際には、色温度が深い電球色を実現します。また、廊下向けでは、普段の灯りは60形の明るさを実現する一方、夜間は省電力で常夜灯として利用できるようにしました。いずれも、箱を開けたらすぐに新たな機能を楽しめる。特別な工事をしなくても、手軽に利用できるという点が特徴です。この手軽さも、LED電球の新たな提案を行う上で起爆剤のひとつになると考えています。

また、年齢層別のターゲットという点では、ダイニング向けはファミリー世代、浴室向けは若い世代を対象に、廊下向けは安全、安心を重視するシニア層といったように捉えることもできます。