理化学研究所(理研)、東京工業大学(東工大)、アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリンは6月24日、大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキング「Graph500」において、理研のスパコン「京」が第1位を獲得したと発表した。

同成果は、東工大 博士課程(理研 研修生)の上野晃司氏らによるもの。Graph500は、独ライプツィヒで開催されたHPCに関する国際会議「International Supercomputing Conference(ISC) 2014」にて発表された。

一般的なスパコンの性能ランキングTop500と異なり、Graph500ではグラフの「幅優先探索(Traversed Edges Per Second:TEPS)」と呼ばれる計算を行う速度で評価されるため、計算速度だけでなく、アルゴリズムやプログラムを含めた総合的な能力が求められることとなる。

今回の測定では、「京」が持つ8万8128台のノードの内の6万5536台が用いられ、約1兆頂点、16兆枝から成る大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.98秒で解くことに成功したとする。このベンチマークスコアは17977GTEPSで、研究グループでは、Graph500の1位獲得は、「京」が科学技術計算でよく使われる規則的な行列演算によるだけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い能力を有していることを実証したもので、幅広い分野のアプリケーションに対応できる「京」の汎用性の高さを示すものだと説明している。

なお、研究グループでは、大規模グラフ解析においては、アルゴリズムおよびプログラムの開発・実装によって性能が飛躍的に向上する可能性があるため、今後もさらなる性能向上を目指した研究を行っていくほか、実社会の課題解決および科学分野の基盤技術への貢献を目指し、スパコン上でさまざまな大規模グラフ解析アルゴリズムおよびプログラムを研究開発していく方針としている。

2014年6月版のGraph500上位10位リスト

理研のスパコン「京」