米AMDは4日(現地時間)、同社の最新APU「Kaveri」(開発コード名)のノートPC向け製品を発表した。台湾・台北市で開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2014で各PCメーカーからノートPC向けKaveriを搭載した製品が発表される予定だという。

Kaveriの概要

KaveriはCPUにPiledriverコア後継のSteamrollerコア、GPUにGCNベースのRadeon GPU Coreを統合したAPU。2014年1月にデスクトップ向けモデルで、AMDとして初のヘテロジニアス・システム・アーキテクチャ(HSA)対応APUである。CPUとGPUを共通のメモリ空間で扱う「hUMA」をはじめとする機能により、CPUとGPUを合わせて演算処理を行うことで性能向上を実現した。

最大で4コアのCPUと8コアのGPUを統合する。HSAによってCPUとGPUを組みあせて演算処理できることから、AMDではCPUコアとGPUコアを合わせた数を「Compute Core」と呼ぶこともある

HSAに向けて実装されている機能の紹介

ノートPC版Kaveriでは、クロック数やTDPなどを調整しているが、デスクトップ向けモデルと同様に、グラフィックスAPI「Mantle」やオーディオ技術「True Audio」を搭載する。また、ストリーミング動画に関するトラフィックの優先度を上げる「Quick Stream」、動画内の手振れを修正する「Steady Video」といった機能も備える。

独自のグラフィックスAPI「Mantle」に対応し、DirectXと比較して2倍のパフォーマンスを実現するという

このほかの搭載機能

製品ラインナップは以下の通り。ノートPC向けKaveriでは、これまでの「A10」「A8」「A6」というブランド名は主にメインストリームのモデルで使用し、最上位モデルで「FX」、企業向けモデルで「PRO」という2つのブランドを投入する。

ノートPC向けKaveriでは、通常電圧版と低電圧版、企業向けの低電圧版とニーズに合わせた細かいラインナップを提供する

「FX」はもともとエンスージアストをターゲットにしたデスクトップ向けCPUのブランドだった。ノートPC向けKaveriではゲーミングPCなどに向けたハイエンドモデルのブランドとなるようだ。また「PRO」シリーズは「Commercial ULV」(企業向けの低電圧版)と位置付けられ、企業向けに安定性や通常のプロセッサよりも長期間にわたって供給するモデルとなる。

本家であるデスクトップ向けのFXは、FX-9590とFX-9370を最後に製品が登場していないが、ノート向け製品としてひさびさに登場した

「PRO」シリーズでは、企業向け製品に対するニーズに合わせて調達のしやすさや安定性を重視している

AMDでは競合製品に対するパフォーマンス比較も公開。低電圧版プロセッサでは、それぞれの競合製品に対し、グラフィックス性能は最大58%、システム全体の性能は最大52%上回るとしている。

競合となるのはCore i7-4500UやCore i5-4200Uといった製品

各テストでの比較

また、企業向けの低電圧版でも競合製品に対し、グラフィックス性能は50%以上、システム全体の性能は最大45%上回るという。

競合となるのはCore i7-4500UやCore i5-4200Uといった製品

各テストでの比較