実技競技2「HIT太陽電池 Raise The Future」

2つめの実技競技は、太陽電池を使って旗掲揚機を作るというもの。チーム旗をモーターで巻き上げ、高さ4mのポールの上端まで到達することができれば課題達成だ。上昇するチーム旗には風船が、ポールの上端には針が設置されており、風船が割れることで課題達成が分かる仕組みである。

パナソニック製のHIT太陽電池が使用された。非常に高効率なものだ

チーム旗を揚げて風船が割れれば課題達成。ゴールが分かりやすい

旗掲揚機を作る前に、事前準備として、課題1では太陽電池の特性を調べる。太陽電池と乾電池では、電流-電圧(I-V)特性がまったく異なる。光源の距離を変えたり、2枚を直列/並列に繋げたりしながら、I-V特性がどう変化するのかを調べ、太陽電池の性質をまず理解しておく。

太陽電池のI-V特性。負荷が小さいところでは電流がほぼ一定となる

一方、乾電池のI-V特性はこちら。負荷に寄らず、電圧が一定だ

実際に旗掲揚機を作るのが課題2だ。設計はマニュアルで指定されているが、以下の4つの部品は3種類ずつ選択肢があり、その中から任意の組み合わせが可能。ただ、間違った組み合わせだと旗が揚がらないので、慎重に考える必要がある。

  • DCモーター(RE-140RA/RE-280RA/RS-540SH)
  • 光源の高さ(40/60/80cm)
  • 太陽電池の構成(1枚/2枚直列/2枚並列)
  • プーリー(直径8/10/12mm)

ちなみに、チーム旗の重量は約170gあるのだが、モーターの仕様表を見ると、これを持ち上げられるだけのトルクがあるのは、最もパワフルなRS-540SHだけだ。ただし、このモーターの適正電圧は7.2Vと高い。この太陽電池ではどうやっても出せないが、そのことにとらわれず、RS-540SHを選択できるかどうかが最初のポイントになるかもしれない。

なお光源の高さについては、低い(=距離が近い)方が太陽電池の出力が上がるのは自明だ。ゆえに、40cmが最も有利となるわけであるが、この課題では、課題達成の早さによる得点と、仕様に関する評価点の合計で順位が決まるようになっている。評価点は、光源が高いほど高くなるので、課題達成のタイムでは負けても、合計点で逆転するということも有り得る。

光源の高さは3段階で調節可能。光を反射させるためにアルミシートで覆う

様々な組み合わせが考えられる。あえて難しいものに挑戦する戦略もアリだ

さて、競技の結果であるが、かなり難しかったらしく、終盤戦になっても、各チームとも、なかなか旗が揚がってこない。開成高等学校(東京)の旗がまず揚がりだしたが、途中でなぜかストップ。すると終了間際、風船は割れなかったものの、大阪星光学院高等学校(大阪)の旗が上端まで到達し、逆転でこの競技の1位となった。

終了間際の様子。開成高等学校はあと10cmと非常に惜しかった