1.46GHz動作、5W TDPのSoC Atomでファンレス化した"Thin Canyon"

「DE3815TYKHE」は、開発コードネーム"Thin Canyon"(シン・キャニオン)として開発が進められてきた製品で、仮想デスクトップクライアントなどのシンクライアント用途や、デジタル・サイネージやデジタル・キオスクといった組み込み市場をメインターゲットとする。

そのSoCには、組み込み市場向けの1.46GHz動作、5W TDPのシングルコアSoC「Intel Atom E3815」を採用することでファンレス化を実現している。メモリインタフェースはシングルチャネルのDDR3L-1066に対応し、最大8GBのメモリをサポートするほか、システムの放熱性を高めるため、2.5インチHDD/SSD搭載スペースをNUCマザーボードと分離すべく、長方形のケースデザイン(縦190×横40×高さ116mm: 縦置き時)を採用している。

開発コードネームのThin Canyonが示すとおり、同製品はシンクライアント向けに開発されたNUCだ

Thin Canyonこと「DE3815TYKHE」(写真右)と、同ボードの「DE3815TYBE」(写真左)

同製品は、ケースやACアダプタを含めたキット構成のほか、NUCマザーボード単体でも販売され、SIベンダーなどが独自のデジタル・サイネージ端末などを設計しやすくなる工夫も盛り込まれている。同製品では、基板上にオンボードストレージとして4GBのeMMCメモリを搭載するほか、HDDやSSDを接続しなくても単体動作を可能にしているほか、基板上にはeDP 1.3対応のフラットケーブルコネクタが装備され、LCDディスプレイパネルと直接接続できるように設計されている。また、GPIOやI2Cなどをサポートしたピンヘッダやシリアルポートなども用意され、組み込み用途でも柔軟なハードウェア設計ができるように配慮されている。

キット構成のI/Oインターフェースは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、1000BASE-TX LAN×1、HDMI 1.4a×1、VGA×1で、基板上にはハーフサイズのminiPCI-e×1とSATA 3.0ポート×1を備える。が付属するほか、12~24Vの入力に対応した内部電源コネクタも装備する。Deatherage氏によれば、シンガポール市場における想定価格はNUCキットが169シンガポールドル(約1万3,800円)、ボードが129シンガポールドル(約1万600円)とされ、すでにインド市場などで同製品を採用したソリューションも販売される計画だと言う。

Thin Canyon「DE3815TYKHE」の背面I/O部

Thin CanyonのNUCマザーボードの「DE3815TYBE」

ファンレスでも安定した動作を実現するために、2.5インチHDD/SDD用スペースは、マザーボードの横に設けられているため、ケースが長方形になった

基板エッジに、eDP用のフラットケーブルコネクタも搭載される

ボード上のeDPコネクタに液晶パネルを接続し、外部ストレージなしで動作させるデモも披露