日本科学未来館、公益財団法人日本数学検定協会、講談社の理系女子応援サイト「Rikejo」の3者は4月4日、コラボレーションイベントとして、未来館特設会場にてリケジョ向けイベント「Rikejo 宇宙の旅~数学で星空をてもとに~ あなたは今、どこにいますか? 宇宙を「測る」と自分が「分かる」?」を実施。高校生を中心にして、下は小学1年生から上は子供連れの社会人までの幅広い年齢層の理系女子が集合し、イベントを楽しんだ(画像1)。その模様をお届けする。

画像1。みんなで記念撮影

Rikejoイベントのレポートで毎回同じようなことを書かせてもらっているが、世間一般的にいって、理数工系は昔から比べたらだいぶ増えたとはいえ、まだまだ女性の割合は少ない。その理由としては、偏見がまだまだ親・教師世代には根強いようだし、実際にどうしても分野として男性社会的な色合いがまだまだ強いことから、「女子があまり選択すべきではない進路」とされてしまうことがあるように感じられる。本人が楽しく感じていたり、才能があったとしても、「女性がその分野に進んでも将来性がない」と親や教師に強くいわれたら、不安を感じて、あきらめたり興味が薄れてしまったりするのは致し方ないことではないだろうか。

しかし、理数工分野も女性が進出してくれることを望んでいるのもまた事実だし、何も理数工の分野に限ったことではないが、超高齢社会となって働き手が減ってくる今後の日本において女性の社会進出はまだまだ課題は多いが絶対的に必要であり、どちらにしろ働くのなら自分の才能を活かせたり好きな分野である方が楽しかったりやりがいを感じやすいわけで、そこでそうした少数派の理系女子を応援しているサイトがRikejoというわけである(画像2)。これまでも数学検定協会とタッグを組んでのイベントを実施したことがあるが、そこに日本科学未来館も加わえた3者合同イベントとして開催されたのが、今回のイベントである。

画像2。Rikejoトップページ

数ある理系科目の中で、女子が比較的興味を持ちやすいものといえば、やっぱり宇宙(天文)だろう。その一方でどちらかというと、苦手に感じる女子が多いのが、数学ではないだろうか(経理とか数字を扱う職業に就く女性は多いと思うのだが、教科としての数学そのものとなると、好きな女性は少数派のように思われる)。そこで今回は数学を楽しく学ぶため、宇宙を絡めた内容が選ばれたというわけだ。

そして未来館で開催するからには、普段から来館者に親切丁寧に科学の世界を案内しているプロであるサイエンスコミュニケーターの方に解説してもらおうということで、白羽の矢が立ったのが、未来館の科学コミュニケーターのエースの1人、本田隆行氏である(画像3)。NHKの科学番組「サイエンスZERO」の中で行われた「プレゼン王者決定戦」で優勝し、初代キング・オブ・サイエンスコミュニケーターとなった方なのでご存じの方もいるだろう。イケメンサイエンスコミュニケーターとして知られた人物である。実は、今回参加した女子の中にも本多氏目当ての子たちもいたようだし(記念撮影とかしてた)、付き添いのお母さんの中にも大ファンという方もいたようだ。

画像3。未来館の科学コミュニケーター・本田隆行氏

ちなみにこのイベント、告知はRikejoの特設サイトを中心に行われ、それほど大々的には行われていない。しかし、宇宙+未来館+本多氏ってことで60名の枠があっという間に埋まってしまったらしい(当日は実際には欠席もいて、60名全員は参加していない)。すばらしいことである。

その内訳は、小学生2名(1年生と5年生)、中学生12名、高校生28名、高専生1名、専門生1名、大学生8名、社会人3名だ。中3から上になると、進路の関係で理系を選択した結果リケジョとなってRikejoの会員となり、今回のイベントを知ったというのはわかるのだが、話を聞いたところでは中学新1~2年の子たちもそこそこいて、宇宙が好き(本多氏が好き、という子もいると思われる)ということで参加している子も多かったようだ。

中にはかなりヘビーな宇宙好きの子もいて、友達と参加して唯一制服を着ていたある中学生の子は、NHK BSで放送されている宇宙ドキュメンタリー番組「コズミック フロント」が大好きだそうで、イベントの途中で館内を移動した際にたまたま記者が彼女のそばを歩いていて聞こえてきたのだが、「テラフォーミングが…」「エウロパ(木星の衛星)が…」といった会話。そこで思わずいろいろと話を聞かせてもらったのだが、将来はぜひ研究者になってほしいものである。