3月20日に発売されたカシオ「EXILIM」の最新フラッグシップ「EX-100」。1/1.7型センサーを搭載した「EX-10」の姉妹機であり、28-300mm相当、全域F2.8通しという豪華なズームレンズを搭載するモデルだ。今回はその実力をご確認いただくためのファーストレビューをお届けしよう。

EXILIM「EX-100」

「遠くを撮るズーム」から「表現するためのズーム」へ

28-300mm相当、全域F2.8通しのズームレンズ。それは冒頭にも書いた通り、EX-100の最大の特長のひとつであり、姉妹機であるEX-10とキャラクターを異にする部分だ。EX-10のレンズは28-112mm相当のズームレンズで、開放F値は広角側がF1.8、望遠側がF2.5。EX-100の登場後もEX-10は継続販売され、両者でフラッグシップラインを形成することからも、製品の新旧や優劣ではなく、カメラに託された方向性の違いであることが分かる。

EX-10(左)とEX-100(右)。ボディカラーとグリップの太さが異なる

EX-100(右)はファンクションリングのグリップが2重になっている

軍艦部のメタルプレートはEX-10の光沢処理に対して、EX-100はヘアライン処理されている

背面のデザインでは両機種の見分けが付かない

軍艦部のヘアライン処理がよく分かる

吹き付け風のボディテクスチャーがよく分かる底面

EX-10同様、自動開閉式レンズキャップが付属する

従来機のEX-10では、大きめのセンサーと設計に無理のない高品質レンズの組み合わせならではの精緻な描写を楽しんだり、レンズF値の圧倒的なアドバンテージ、つまり明るさを生かして、手ブレや被写体ブレを防ぐことができた。

一方、EX-100は10.7倍ズームを利用した幅広い撮影を楽しめる。風景写真の撮影はもちろん、観客席からのスポーツ、運動会などでも活躍するだろう。しかし、それだけではない。高倍率望遠レンズならではの優れた表現力で、日常の写真をよりドラマチックに演出できるのだ。

例えば、(被写体の)背景や手前にボケを作ったり、背景を圧縮効果で引き寄せたり、大きな被写体のパースによる歪みをなくしたり…。EX-100のレンズは300mm相当の最大望遠時でも開放値F2.8で、ピントの前後が大きくボケてくれる。しかも、上下回転、左右回転、上下、左右、回転の5つ(5軸方向)に対応した強力な手ブレ補正機構のおかげで、望遠端までを安心して活用できるのだ。

焦点距離28mm相当だと極端にパースが付く(原寸大画像を見る)

ちょっと下がって望遠で撮れば、大きな被写体でもパースが付かずに撮影できる。焦点距離は165mm相当(原寸大画像を見る)

レンズの開放F値(F2.8)では背景が大きくボケる(原寸大画像を見る)

花キャベツを横から。黄色い前ボケはスミレの花。300mm相当(原寸大画像を見る)

望遠端をテレマクロとして使用。強力な手ブレ補正の効果が大きい(原寸大画像を見る)

EX-10でトピックだった、1シャッターで9枚の異なる表情を撮影できる「プレミアムブラケティング」も引き続き搭載されている。EX-100では、パラメーターの振り幅を手動で設定できる「マニュアルブラケティング」に、新たな3タイプが加わった。

新しく追加されたのは、「ISO2(絞り、シャッタースピード固定)」、「ホワイトバランス×彩度」、「ホワイトバランス×コントラスト」。中でも、写真の印象が大きく変化し、撮った本人でも意外な発見があるホワイトバランスのブラケティング・バリエーションが増えたのは嬉しい。前述の高倍率ズームレンズと組み合わせて使うことで、ブラケティングにも新たな表現の可能性が拓けた。

マニュアルブラケティングに追加された「ISO2(絞り、シャッタースピード固定)」。3コマ目は感度が上がっている

同じく新追加のプレミアムブラケティング「ホワイトバランス×彩度」をテレマクロで

上段右の、もっとも暖色で彩度が高い写真(原寸大画像を見る)

同じく新追加のプレミアムブラケティング「ホワイトバランス×コントラスト」でメタセコイアの巨木を撮る

上段左の、もっとも寒色でコントラストが高い写真(原寸大画像を見る)

従来機EX-10の堅実な足回りを維持しながら、新たな表現力を身に付けたEX-100。「ズームレンズはただ遠くを撮るだけの装備ではない」と、あらためて気づかせてくれるカメラだ。