DirectX 12の発表を3月20日(米国時間)に、Build 2014の開催を4月2日(同)に控える中、今週はMicrosoftのWebメールサービス「Outlook.com」がSkypeを正式にサポートした話題を紹介する。

「Skype for Outlook.com」正式版がローンチ

Microsoftが全世界でOutlook.comからSkypeを利用可能にしたとアナウンスしたのは3月4日(米国時間)のことだが、もともとは2013年4月に発表された機能である。2013年4月の時点でプレビュー版の提供が米国を中心に始まっており、テキストチャットに限れば2013年1月末の時点で動作していた。

日本国内では、2013年8月19日にプレビュー版の提供を開始すると一度アナウンスしたが(関連記事)、そのわずか2日後に、年内を目標として延期した(関連記事)。この時点で延期の理由は明らかにされなかったが、察するに技術的な整合性が取れなかったのだろう。その年内という発表も延び延びとなり、最終的に2014年3月にローンチした。

正式名称は「Skype for Outlook.com」となった本機能だが、使用するにはプラグインファイルをインストールしなければならない。インストールページにアクセスすると、ウィザード形式でプラグインのインストールまでは進めるのだが、Windows 8.1上のInternet Explorer 11の場合、インストール結果を検出できない問題が発生する。

Windows 8.1のIE 11では「プラグインがインストールされていない」といったエラーメッセージが現れ、ウィザードを進められなくなる

Skypeは2011年にMicrosoftに買収され、現在は同社の一部門だ。さらにMicrosoftはSkypeを主たるコミュニケーションツールとして推し進めるため、「Windows Live Messenger」を全世界で終了している (中国を除く)。詳しく検証していないが、古いAPIを用いたため、インストール結果の検出をできないと思われるが、少々間の抜けた話だ。こちらの問題は、Internet Explorer 11の互換表示設定に「skype.com」を追加することで回避できる。

<ツール>ボタン→<互換表示設定>とクリック

「Skype.com」をそのまま<追加>

画面が切り替わり、インストールが完了

プラグインをインストールした後の手順はシンプルだ。もし、MicrosoftアカウントがSkypeアカウントと連動していない場合、サインイン操作を求められるが、そのままMicrosoftアカウントでサインインを実行するだけでよい。

フェイスマークボタンをクリックして「Skypeの連絡先」を開く

アカウントの連動を求められるので、をクリック。その後、Microsoftアカウントでサインインを実行する

テキストチャットはSkypeだけではなく、FacebookやGoogleの連絡先を用いることも可能。このあたりはWindowsストアアプリの「People」と同じだ。音声/ビデオ通話ではSkype専用の別ウィンドウが開き、デスクトップアプリ版やWindowsストアアプリ版のSkypeと同じように会話を楽しめる。新たにPC向けのHDビデオ通話にも対応したという。

テキストチャットは、そのままウィンドウ内で実行できる

音声/ビデオ通話ボタンをクリックすると別ウィンドウが開く

2003年からインターネット電話サービスとして注目を集めてきたSkypeだが、ライバル企業の台頭もあってすでに一強時代ではない。さまざまな試みで巻き返しを図るSkypeおよびMicrosoftの動向は注目に値するだろう。

Googleドライブが価格改定 - 50GBが約200円/月

今週はもう一つの話題をピックアップする。Googleは自社オンラインストレージサービス「Googleドライブ」の料金を改定した(関連記事)。100GBプランは4.99ドル/月から1.99ドル/月へ、1TBプランは49.99ドル/月から9.99ドル/月へ値下げしている。さらに2/4/8/16TBプランを廃止し、新たに10/20/30TBプランを発表。最大80%のプライスダウンは、Googleドライブユーザーにとってうれしい発表だ。

料金改定を発表した「Google Drive Blog」

改定前・改定後の各プラン。料金はすべて月額

下表は主なオンラインストレージサービスの料金を比較したものである。ドル/円は102円で計算した。Googleドライブの安さが圧倒的に目立ち、OneDriveの200GBとGoogleドライブの1TBがほぼ同額。Dropboxは高く、残念ながらユーザーの選択肢に含まれることはないだろう。なお、OneDriveは既存の容量に対して購入した容量を追加する形式となるので、必ずしも各サービスで同じ容量とならない点に留意してほしい。

主なオンラインストレージサービスの料金を比較

ここで気になるのが、Microsoftなどライバル企業の動向だ。今後何らかの料金改定を行うことが想定される。仮に現状のままに留まると、ユーザーがGoogleドライブに移行してしまうのは、火を見るより明らかだ。筆者は今回取り上げた3つのサービスを場面に応じて使い分けているが、いずれのサービスも機能には一長一短がある。価格争いは企業の体力を削ぐ結果になるものの、ユーザーにとってはトータルサービスの向上につながるため、Microsoftをはじめとするオンラインストレージサービス提供企業の対応に期待したい。

阿久津良和(Cactus)