――2nd Mini Album『"Z"OOM』の発売おめでとうございます。このミニアルバムは、6曲それぞれに個性がありながらも疾走感があふれる、今までになくダイナミックな作品に仕上がっています。手応えはどうですか。

蒼山幸子(Vo.&Key.): 「とにかく早く聴いてほしい!」の一言です! 胸を張って自信作だと呼べる作品になったと思うし、以前から聴いてくれていた人には「あ、ねごと進化してるな」って感じてくれる作品になったんじゃないかなって思います。

――「進化してるな」というのは?

蒼山:去年リリースした2ndフルアルバム『5』(ファイブ)は、いろんなことを考えに考えぬいて作ったアルバムだったんです。でも今回の『"Z"OOM』では原点に立ち返って、感覚的に曲を作るということを大事にしたんです。だから、今まで以上にバンド感のある作品になったと思うし、このアルバムで初めてねごとを聴いてくれた人にも「ライブに行ってみたい!」と思ってもらえるんじゃないかなと。

――原点ということについてお聞きしたいんですが、ねごとは高校生のときに組んだコピーバンドが始まりだったんですよね?

沙田瑞紀(Gt.):そうです。当時の私たちの合言葉は、「世界中のおもしろい音楽をコピーする」(笑)。いろんなアーティストのCDを持ち寄って「この曲面白くない?」とか「幸子、このボーカルみたいにシャウトしてみて!」とか言いながらコピーして、それを月イチのライブで披露していました。

澤村小夜子(Dr.):実は私たち、聴いてきた音楽はバラバラなんです。例えば瑞紀や佑は中学の頃からナンバーガールとかソニックユースとかオルタナ系のバンドの曲をよく聴いていたし、幸子はボーカルらしく、井上陽水やスピッツといった言葉の強いアーティストを聴いていた。私はずっとクラシックやオペラばかりを聴いてきて、高校に入って初めて「スピッツってバンドだったの?」って知ったくらい(笑)。でも、こんなにバラバラなのに、バンドを組んだ頃から4人でやりたい曲や「これ、おもしろいね」という感覚が一緒だったんです。

――その後オリジナル曲にも挑戦するようになって、高校3年生のときに出場した「閃光ライオット」をきっかけに、プロの世界に飛び込むことになりました。戸惑いやプレッシャーはなかったのですか?

蒼山:最初はとにかく「音楽がやりたい」っていう気持ちだけでレコードを作ったりライブをやったりしていました。ただ、1stフルアルバムの『ex NEGOTO』(2011年)をリリースしたあたりから、いろんな人に聴いてもらえるようになったことで、逆にお客さんの反応が気になるようになったんです。「ちゃんと伝わっているのかな」「もっと発信していかないといけないのかな」って不安を感じることが多くなった。

藤咲佑(Ba):ライブでも、他のバンドと対バンしたときに「こんなにお客さんがノってくれているのに、どうして私たちはもっとお客さんを盛り上げられないんだろう」っていう悔しい思いをしたこともありました。いつも他人と比べてしまっていましたね。

――そうした試行錯誤のなかで生まれたのが前作『5』だったんですね。その壁はどうやって乗り越えたのですか?

蒼山:とにかくいろんなことに挑戦してみたんです。例えば、今では普通にやっている、ライブでお客さんに手拍子を誘ったりすることも最初はできなかったんです。それを思い切ってやってみたり。MCも、はじめはほとんど喋れなかったんですけど(笑)、ちゃんと何を伝えたいのかを考えて喋るようになりました。

沙田:あと、『5』を出した後の全国ツアーがとてもいいきっかけになりましたね。全部で26本という長いツアーだったんですが、そのなかでお客さんの盛り上げ方や見せ方についていろんなことを試したり、メンバー同士で「私たち自身はちゃんと楽しめているのか」ということをとことん話し合うことができたんです。そのことで、お互いの信頼感が一段深くなった気はします。

蒼山:そういうもがいた時期を乗り越えて、昨年リリースしたシングル『シンクロマニカ』と今回の『"Z"OOM』で、ねごとの第2章が始まったんだと思ってるんです。

――『"Z"OOM』ではメンバー全員が作詞に挑戦しているのも大きな特徴ですね。

藤咲:実は『5』でも全員、作詞はしているんです。でも、前回はクレジットを「作詞作曲:ねごと」としていました。それは、各自が「自分が考えるねごと像」というものに合わせて歌詞を書いていたから。「この歌詞はねごとには合わないだろう」とか「幸子はこういう言葉は歌わないだろう」とか、どちらかというと個性を抑えて書いていたんです。でも今回は、思い切り自分が考えていること、感じていることを書きました。

沙田:今までは「沙田瑞紀=ねごと」って言える自信がなかったんです。だから私個人が考えていることを曲にするが怖かった。でもそれっておかしな話ですよね。だって私だってねごとのメンバーなんだから。いろんな経験をしてきた今だからこそ、私一人でもねごとなんだ、自分の言葉を吐きだせばそれがねごととしての言葉になるんだって思えるようになったんです。

――今回収録された6曲がそれぞれ違った色をもっているのは、メンバー4人それぞれの個性だったんですね。だから冒頭で蒼山さんが言ったように、ずっと聴いてくれている人には「あ、進化してるな」と思ってもらえると。

蒼山:そうなんです。だからやっぱり、とにかくまずは『"Z"OOM』を聴いてほしいんですよね!

――ありがとうございました。

ねごとの最新ミニアルバム『"Z"OOM』【初回生産限定盤】(CD+DVD)は2,100円(税抜き)、通常版(CD)は1,800円(税抜き)で販売中。

撮影:石井健