永氏はソーシャルアクション室でLinks for GoodというNPO活動の支援事業を担当している。東北のNPOやボランティアの支援を続けている中で「地元の人にも、復興デパートメントなどのヤフーの取り組みが震災3年目と区切られてしまうことだけは避けたかった」という思いがあったことを話す。

「4年目から更に頑張って、5年とか10年という目線でやっていくことを震災の復興支援ページでは表現したかった。(石巻復興ベースでは)最初はなんだこいつらと思われていたかもしれないけれど、一緒に復興への取り組みを進めていく中で得たものがページに載っている」(永氏)

震災の復興支援ページでは、被災3県の人々の写真を映し出し、「どういう人なんだろう」と深く"人間"を知ってもらう為の記事を提供している。また、東日本大震災の重要なキーワードである「放射能」についても目を背けることなく、現状を知ってもらう為に福島大学准教授 小山良太氏に福島の農業の"今"を聞く記事を掲載している。

「福島県の現状は、未だに放射能汚染による警戒区域が残っていることは確かだけど、安全と科学的に実証されているところが多い。福島県の農業、生産者の支援という点で、小山教授に話を聞いて、『こういう検査をやっているから、福島県産の農作物は大丈夫なんだ』ということをお答えいただいている。原発問題では、感情論やヒューマン系の話になりがちになるが、科学的な検査・調査というデータを見せることでフラットな立ち位置で話を見てほしい」(永氏)

2013年のコンテンツでは復興支援者の話をメインに構成していたが、今年は被災者を中心に話を組んだという。

「被災者の方が現在の状況を正確に伝え、読者に響くのではないかと考えた。被災地は悲壮感が漂っているわけではなく、頑張っている人が多く居る。もちろん、支援はまだまだ必要だし、ヤフーとして募金もやっているが、この特集でお願いしたいことは足を運んでほしいということ。地元の人は『人が来るだけで良い』と思っていると思う。お金だけではなく、『見てもらう』『来てもらう』『知ってもらうこと』が一番大事だ」(永氏)

ヤフーは現地へ足を運んでもらうことを目的としたツール・ド・東北を2013年に開催しており、今年も9月14日に開催予定だという。