このほど、幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル2014」にて、一般社団法人 3Dデータを活用する会(3D-GAN)による3Dモデリングソフトの体験講座が行われ、参加者はワコム製液晶ペンタブレット「Cintiq」シリーズを用いた3Dモデリングを楽しんだ。

ワンフェスとは?

ワンダーフェスティバル、通称「ワンフェス」は、フィギュアなどのガレージキット(組み立て模型)の展示・販売イベント。プロ・アマを問わず出店できることが特徴で、会場には自作のガレージキットを持ち寄るアマチュア原型師の出店エリアのほか、メーカーによる展示ブースが並ぶ。これらディーラー参加者に加え、キットを買い求める一般客や、コスプレ参加者なども多数参加し、年々そのイベント規模を拡大している。

前日の大雪にも関わらず、会場の幕張メッセは来場者の熱気に包まれた

デジタルでの3Dモデリング体験

今回の「フィギュア原型師のための 初めての3Dモデリング講座」は、「手を使った造形には慣れているがデジタルソフトは使った事がない」という原型師や、「一から原型製作に挑戦してみたい」というフィギュア初心者を対象としたもの。無料のスカルプティングソフト「Sculptris」を使用し、モデリングの基礎レクチャーが行われた。

講義ではまず、画面上に用意された立方体のポリゴンを用いて、ブラシ機能の解説が行われた。「Sculptris」のブラシには「ミゾブラシ」、「丸ブラシ」、「平ブラシ」など、全7種の造形ブラシがあり、これらのブラシを使ってポリゴンを粘土のように変形させていく。

例えば「ミゾブラシ」ではなぞった箇所にV字状の溝が作られ、「丸ブラシ」では描いた場所が筆圧に応じて丸く盛り上がる。いずれのブラシも、ペンタブレットの筆圧感知と対応しているため、感覚的に強弱をつけながら造形を行っていくことが可能だ。

「ミゾブラシ」「丸ブラシ」を使用してポリゴンに凹凸をつけている様子(左)。「つまみブラシ」を用い、粘土のように引き伸ばしていく(中央)。参加者が使用したワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq」シリーズ(右)

フィギュアの原型製作では、大まかな形状を作り出していくだけでなく、人物の顔や髪の毛といったパーツや、表面に施すテクスチャーを作り込む操作も求められる。このような作業段階ではおのずと細かい操作が要求されるため、ペンタブレットとの親和性が高い。特に液晶へ直接描き込むことができる液晶タブレットタイプでは、よりスムーズな操作感を得ることができる。

講義後半では、基本操作を応用して人物の顔や怪獣などのポリゴンデータをベースに自由にモデリングに挑戦する時間が設けられた。30分間という限られた時間の中での講義ではあったが、初めてスカルプティングに挑戦した参加者も、ストレスのない操作環境で思い思いの造形を楽しんでいる様子だった。

液晶ペンタブレット「Cintiq Companion」(Windows8搭載機)無料貸出し

また、イベント会場では、「Cintiq」シリーズの最新機である「Cintiq Companion」(Windows8搭載機)の無料貸出しキャンペーンが実施された。ディーラー参加者を対象としたもので、貸出機には「Adobe Photoshop CC」、「Adobe Illustrator CC」のほか、体験講座でも使用されたモデリングソフト「Sculptris」がインストールされた状態となっており、イベントの空き時間を活用してラフスケッチやスカルプティング製作が楽しめる環境が用意された。同キャンペーンで実際に「Cintiq Companion」を体験したユーザーは、「既に10年ほど前からデジタルでの製作は取り入れているが、今回発売されたCintiq Companionがどのような操作性か確かめたくて応募した」という。ブースでの待機時間に操作を楽しみ、「筆圧感知など、いつも使っているIntuosシリーズと同じで快適」と語った。

また、作品のデータを展示するためのタブレットとして「Cintiq Companion」を活用しているディーラーの姿も。「その場でお客さんに3Dデータに触ってもらい、くるくる回転したり、動かしてみてもらうこともできる。自分がデジタルで製作している原型師だということをアピールできた」と、ブースの見せ方にタブレットを活用しているようだった。さらに製造工場などへの出張が多いというメーカー勤務の原型師は、「出張先や打ち合わせ場所で、すぐにデータを見せたり簡単な修正をほどこせるのがいい」との声もあった。

「Cintiq Companion」をキーボードと繋げてセットすることで、展示・体験ツールとして活用することも可能だ

プロ・アマ問わず、今後もデジタルモデリングソフトのユーザーが増加する中で、Windows8搭載の液晶ペンタブレット「Cintiq Companion」はフィギュア原型師の創作環境を広げる新たなツールとなってくれそうだ。