今後どのような施策を展開していくのか。社長執行役員の根岸正人氏と、米WatchGuard Technologies CEOのJoe Wang氏の講演の模様を紹介する。

ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンは2月5日、国内パートナー向けのイベント「WatchGuard Partner Forum2014」を開催した。サイバー攻撃対策へのニーズの高まりを受けて、同社は売上高で前年比25%成長となるなど好調だ。今後どのような施策を展開していくのか。社長執行役員の根岸正人氏と、米WatchGuard Technologies CEOのJoe Wang氏の講演の模様を紹介する。

パートナーとの協業を背景に前年比25%成長

国内を対象としたサイバー攻撃が増え、中小中堅企業でもそれに応じたセキュリティ対策が求められるようになった。そのことは、エンタープライズクラスの機能と品質を中堅中小企業向けに提供しているウォッチガードにとっても追い風になっているようだ。社長執行役員の根岸正人氏はまず、昨年の実績を振り返りながら、次のように同社の好調さの要因を説明した。

ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン 社長執行役員 根岸正人氏

「対前年比で25%成長を実現した。昨年の第4四半期(10~12月)に限れば国内では38%の成長だ。全国の中堅中小企業でニーズが高まっているなか、新しい販路が拡大したことや、販売パートナーが増えたことが背景にある」(根岸氏)

昨年新たにパートナーとなり販売が拡大したケースとしては、オフィス24、京セラドキュメントソリューションズジャパン、ソネットビジネスアソシエイツ、ネットブレインの4社との協業の取り組みを紹介した。

オフィス24では、ビジネスフォンを中心とした機器販売の中で、セキュリティ製品の組み合わせたかたちでの提案を行っている。医療、文教、小売、製造、建設など幅広い業種への販売拡大につながったという。また、京セラドキュメントソリューションズジャパンでは、マネージメントサービスとともに提案を行っている。イベント同日には、UTMと複合機を連携させた「セキュリティーレポート連携パッケージ」を提供することも発表した

ソネットビジネスアソシエイツとの協業は、法人向けISPサービス「NURO Biz」におけるUTMサービスの提供だ。中堅中小規模向けにウォッチガードのUTM機器「XTMシリーズ」をレンタル型、マネージド型のサービスとして提供している。そして、最後のネットブレインとの協業は、同社をValue Added Distributorとして、二次店サポート、リセラー育成、仮想アプライアンス版のUTM「XTMv」の展開などを担ってもらうものとなる。

このほか、昨年度の取り組みとして、第43回Tokyo Motor Show 2013において、1万人以上のプレス記者向けに整備したネットワークのセキュリティをハイエンド機種「XTM 2520」と通信可視化機能「WatchGuard Dimension」で支えた事例も紹介した。パフォーマンスをあらためて検証できたほか、その事例をきっかけとして製品採用に至るケースがでるなど、マーケティング面でも成果があったとした。

WatchGuard Dimensionを使ったサービスの一例

2014年はモバイル、クラウドに注力 大規模環境向け新ソリューションも

2014年の営業戦略としては、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルといったITの大きなトレンドに対応していく。

「こうしたテクノロジーを使ってシステムを構築していく際にはセキュリティは欠かせない。顧客に対してセキュリティのメリットをいかにわかりやすいかたちで提供していけるかが大きなテーマだ」(根岸氏)

具体的な戦略としては、大きく4つの取り組みがあるとした。1つは、モバイルだ。モバイル需要の拡大を受けて、無線機能を標準搭載したUTM「XTM 2 Series(XTM 25-W/XTM 26-W)」や無線アクセスポイント「AP200」などの販売に力を入れていく。

2つめは、クラウドだ。クラウドサービス事業者やデータセンターサービス事業者向けに、仮想アプライアンス版のXTMv向けの新しいライセンスを整備した。初期投資が不要で、ユーザー数の増加に応じて収益が上がるポイント制の課金ライセンスであるため、サービス事業者が採用しやすいことが大きな特徴という。サービス事業者向けにXTMvのメリットを訴求していく。

3つめは、WatchGuard Dimensionを使ったサービスの展開だ。Dimensionは、クラウドベースで脅威を可視化しレポートするツールであり、同社UTMに標準装備されている。世界中から収集されるビッグデータを使った解析サービスという言い方もできる。Dimensionを活用すると、たとえば、IPSで検知された脅威の送信元IPアドレスから地域/国を特定し、地域別にアクセスブロックするといったことが容易にできるようになる。セキュリティの可視化と、運用の付加価値サービスに力を入れていく。

4つめは、新しいソリューションの提供だ。4月までに、現在の顧客が抱える課題にこたえるための製品とサービスを順次、発表していく予定だという。

根岸氏は「昨年は25%成長を目指し、実際に達成できた。今年は30%成長を目標に取り組んでいく」と意気込みを語った。