大阪大学発のベンチャー企業である「クオンタムバイオシステムズ」は1月28日、同社が開発を進めている「1分子シークエンサー」の生データを公開し、外部の研究者がアクセスできるようにしたことを発表した。

同シークエンサーは、ゲーティングナノポア法を用い、全ゲノムの低コスト・ハイスループット分析の実現を目指した第4世代DNA/RNAシークエンサーで、単鎖DNA/RNAのシークエンシングを、ラベル化や修飾なしに、コンシューマーグレードの集積回路と同じ製造ラインで製造可能なシリコンデバイス上で実施できるようにしたもの。装置はタンパク質やその他の試薬を使用しないため、低コストで、消費者レベルのゲノムシークエンシングが可能になるという。

今回、公開された塩基配列の読取精度は、非ホモポリマー領域で99%以上を示しており、ホモポリマー領域における挿入・欠損の発生率は約10%であったという。同社では、今回のデータ公開により、研究者らは開発中のプラットフォームを評価し、そのバリデーションと開発に参加することが可能となると説明しており、DNAの1分子シークエンサーにおける大きな節目となるとしている。

「1分子シークエンサー」の外観