通常時は、東京のNWOPCは東日本を、大阪のNWOPCは西日本を担当する。しかし被災によりどちらかの機能が麻痺した場合、もう一方の拠点で補完できるようになっているという。NTTドコモではこのシステムを「ORTEGA」(OpeRation Twin Equipment Guardian Agent system)と呼んでいる。

NWOPCでは、東京・大阪の2拠点で24時間365日の監視・措置を行っている。ORTEGAシステムにより、両センターはお互いの機能を補完できる

ネットワークの信頼性向上

NTTドコモでは、異なる周波数の基地局・無線制御装置を重ね合わせてエリアを構築している。これにより1つの周波数・制御装置で異常が発生しても、残りの周波数・制御装置で通信を継続させることができる。

異なる周波数の基地局・無線制御装置を重ね合わせてエリアを構築。1つの周波数・制御装置で異常が発生しても、残りの周波数・制御装置で通信を継続できる

通信のルートを複数確保する多経路化も確立している。例えば北日本なら、太平洋ルート、日本海ルート、中央ルートの3ルートを構築。それぞれが完全に独立している。これは3.11の際に太平洋側の施設が大きな被害を受け、東北地方で通信できなくなったことを教訓にしたものだ。丸山氏は「装置は、必ず壊れる。それを常に想定していなければならない。お客様サービスの途絶につながらないように、エリアの全断にならないように整備を進めている」と言葉に力を込めた。

北日本の場合、太平洋ルート、日本海ルート、中央ルートの3ルートを確立。それぞれが完全に独立している

大規模災害への備え

丸山氏は、東日本大震災を振り返り「あまりに被害が広域だった。ひとつひとつ、基地局を直していったのでは間に合わなかった」と語る。電気が止まる、電送路が途切れるといったことも復旧の足止めになったという。