Windows XPはあと3カ月で長きにわたるサポート期間を終える。本来であればWindows XP上で動作するアプリケーションも役目を終えるはずだが、Microsoft Security Essentialsのマルウェア対策シグネチャファイルを2015年7月まで提供すると当初の方針を転換した。さらに、次期Windows OSである「Threshold」に関する情報が少しずつ明らかになってきた。

「Windows 9」は2015年4月に登場

サポートを終えるOSがある一方で、新たなOSの開発が進んでいる。本レポートでも何度か触れてきた開発コード名"Threshold"(スレッショルド )に関する新たな情報をいくつか紹介しよう。Microsoftウオッチャーとして有名なPaul Thurrott氏は自身のWebサイトで、以下のように述べている。

  • Thresholdの開発は、2014年4月から始まる
  • Thresholdの開発が順調に進めば、2015年4月ごろに登場する
  • Thresholdの正式名称は「Windows 9」になる方向で社内検討中

Thurrott氏はMicrosoftに対して独自の情報網を持ち、多くのスクープを報じてきた人物だが、同氏によれば「Build 2014はWindows PhoneおよびXbox (One)の説明が中心になる」という。また、Windowsストアアプリをウィンドウモードで実行する「Metro 2.0」が加わるとも予想している。さらに同氏は、「Windows 8.1 Update 1 (仮)」はWindows Phone 8.1と同じく今年4月にリリースされると述べている。

何らかの正式発表が予定されているBuild 2014前なので、多くの情報は明らかにされていないが、ユーザーの関心は「Windows 9 (仮)を無償で提供するのか?」という点ではないだろうか。

AppleのOS Xの例をみると、2009年のSnow Leopard (10.6)でそれまでの129ドルから29ドルと大幅に価格を下げた。さらに2012年のMountain Lion(10.8)では19ドルに、そしてMavericks(10.9)に至っては無料にした(図01)。

これはAppleがハードウェアとOSをセット販売することで利益を得るビジネスモデルを選択しているからだ。かつてMacintoshの販売利益が上がらないため、OSを単体で売り込めないかと同社役員たちが試行錯誤を繰り返していたことがフィクションのように思えるほど利益構造が変わったのだ。

図01 無償提供された「OS X Mavericks」

一度整理しよう。Appleが苦境に立たされていた時代、ユーザーは基礎的な機能しか保持していないOSよりも、その上で動作するアプリケーションやPCゲームに魅力を感じていた。当時のDOS系OSは縁の下の力持ちであり、ライトユーザーに限ればOSの存在は当時も希薄だったのである。

それでもOSのシェアはハードウェアの販売量とほぼ比例するため、MicrosoftはMS-DOSやWindowsで急成長し、Appleは苦労してきた。これはOSとハードウェアが分離していたからだ。

しかし、タブレットやスマートフォンが台頭する現在は、OSとハードウェアが統合された状態が自然であり、OSそのものを売るのではなく、ハードウェアの販売やオンラインストアなどサービスから収益を得るスタイルが浸透しつつある。Chromebookが収益をオンライン広告から得ようとしているのもその一例だ(図02)。

図04 2月に海外で発売される東芝のChromebook

もちろんMicrosoftも現状を把握しているからこそ、デバイス&サービスカンパニーという方向性を打ち出し、新たな収益システムへシフトしつつある。そして、ライバルOS/デバイスが急成長するほど、Windows 9(仮)が無償提供される可能性は高まるだろう。