シャープは16日、15.6型Windows 8.1 Proタブレット「RW-16G1」、第2世代となる60V型/70V型タッチディスプレイ「BIG PAD」を4モデル、およびこれらを利用した電子会議ソリューションを発表した。

いずれも法人向けとなり、リセラー経由で販売する。価格はオープンだが、システムによって多少の変動があり、参考価格はWindows 8.1タブレットのRW-16G1が250,000円前後、60V型/70V型タッチディスプレイのBIG PADが630,000円から960,000円。発売はRW-16G1が3月、BIG PADの70V型が3月10日、60V型が4月10日。

15.6型3,200×1,800ドットIGZO液晶Windows 8.1タブレット「RW-16G1」

RW-16G1は15.6型のIGZO液晶を搭載し、解像度は3200×1,800ドット、10点マルチタッチ対応だ。256段階の筆圧検知に対応したデジタイザーペンが付属する。今回発表されたBIG PADと電子会議ソリューションのクライアント利用を提案しており、RW-16G1の画面とBIG PADの画面を会議参加者で共有したり、遠隔地同士でも臨場感のある電子会議が可能だ。

CPUはHaswell世代のIntel Core i5-4200U(1.6GHz)、メモリは4GB、ストレージは128GB SSD、センサー類は加速度/地磁気/ジャイロ/照度、通信機能はIEEE802.11a/b/g/n/ac(Draft)対応無線LANとBluetooth 4.0+HS、NFCとなっている。インタフェース類は、ステレオスピーカー/デュアルマイク、約200万画素Webカメラ、USB 3.0×3(うち1基は電源オフUSB給電対応)、HDMI 1.4a出力、Mini DisplayPort出力、SDメモリーカードスロット、イヤホンマイク端子、TPM 1.2+セキュリティスロットなど。OSはWindows 8.1 Pro 64bit版で、バッテリ駆動時間は約9時間、本体サイズは約W382.8×D244.5×H12.5mm、重量は約1.25kg。

発表会では、上述のクライアント利用とともに、オフィスの机ではデスクトップPCとして使い、会議や外出時はピュアタブレットとしてサッと持ち歩く使い方も提案されていた。タブレットスタンドやキーボード、マウスは、汎用的なものを使う。キーボードとマウスはBluetooth接続の製品が適しているだろう。15.6型の割には軽めで高解像度のIGZO液晶、本機単体での4K出力に対応、バッテリ駆動時間も長いと、見どころの多いWindowsタブレットなのだが、原則として個人ユーザーへの販売はしないとのこと。参考価格の250,000円前後は確かに高価ではあるものの、このスペックなら個人ユーザーでも興味を持つ人は多いと思うので、残念だ。

RW-16G1本体と、市販のタブレットスタンド/キーボード/マウスを組み合わせた例(写真右)。そこそこパワフルなマシンなので、常用デスクトップとしても十分に使える

本体正面(写真左)、付属のデジタイザーペン(写真右)

右側面のインタフェース類

左側面のインタフェース類

60V型/70V型タッチディスプレイ「BIG PAD」は第2世代へ

60V型/70V型タッチディスプレイの「BIG PAD」は、デジタルホワイトボード/黒板の機能を持っているのがポイント。タッチペンで手書きする際の検知タイミングを200回/1秒間に高速化することで(従来比で約1.4倍)、滑らかな書き味を実現している。また、1つの画面に、同時に4人で書き込み可能だ。発表会の実機デモで実際に試し書きしてみたが、かなり自然に、スムーズに書き込める。

写真左は70V型。さすがにデカイ。写真右は60V型。ペンに対する反応が速いため、自然な感覚で書き込める。付属のイレーサーを使うと、一般的なホワイトボードと同じように、画面を拭くイメージで書き込みを消せるのも良いところ。消しゴムツールやドロー系のツールも用意されている

ラインナップ(参考価格)は、70V型の「PN-L703A」(960,000円)と「PN-L703B」(820,000円)、60V型の「PN-L603A」(770,000円)と「PN-L603B」(630,000円)の4モデル。型番末尾に「A」が付くモデルは、本体に高機能なコントローラを内蔵しており、電源オンから5秒で書き込めるようになる。以下共通で、解像度が1,920×1,080ドット、最大輝度が300cd/平方メートル、コントラスト比が3,000:1。インタフェース類は、D-Sub×2、HDMI×3、DisplayPort×1、コンポジットビデオ×1、コンポーネントビデオ×1、100BASE-TX対応有線LAN、USB 2.0×2など。

また、型番末尾「A」のモデルは、「タッチディスプレイリンク」というソフトウェアを内蔵している。BIG PAD同士を接続して画面をリアルタイムで同期したり、上記のWindowsタブレットRW-16G1やiOS/Androidデバイスを接続して画面共有したりと、会議システムのホスト/コアとなる機能を持つ。末尾型番「B」のモデルも、タッチディスプレイリンクソフトをインストールしたPCを接続することで、型番末尾「A」モデルとほぼ同等の機能を実現できる(PCの外部ディスプレイとして使うイメージ)。

「タッチディスプレイリンク」ソフトウェアを使うと、BIG PADとWindows/iOS/Androidデバイスを相互に連携可能。BIG PADに接続できるのは、最大50台までだ

狙うはオフィスと文教/教育

今回発表された新製品群は、シャープのビジネスソリューション事業に属する。近年は国内の「インタラクティブホワイトボード」(いわゆるデジタル化したホワイトボードやPCと連携するもの)市場が成長しており、第1世代のBIG PADは国内トップシェアというデータが示された。

そのBIG PADを中核に据え、オフィスワーカーが抱える課題の解決、ワークプレイス/ワークスタイルの変化に対応するソリューションとして、「スマートなミーティング」を掲げる。オフィスワーカーの課題は「社内コミュニケーションの円滑化」「業務の効率化」「意思決定の迅速化」「創造的なアイデアの発掘」、ワークプレイス/ワークスタイルの変化は「オフィスのフリーアドレス化」「スマートデバイスの業務利用」「システムやデータのクラウド移行」だ。

新しいBIG PADは「ホワイトボード」としてすぐに機能するだけでなく、Windowsマシン/iOSデバイス/Androidデバイスがつながるホストになれる。このシステムを用いたミーティングでは、各デバイスの画面が常に同期され、例えば誰かが自分のWindowsタブレットに手書きで書き込んだ場合、ミーティングメンバーのデバイス画面とBIG PADにすぐ反映される。さらに、クラウド型のデータストレージサービスを用いることで、世界のどこにいても同じデータを使ったミーティングが可能だ(システム構築や通信インフラは前提となるが)。

こうした機能を携え、今回の新製品群が狙うのは、オフィスと文教/教育のマーケットだ。オフィスは言うに及ばず、文教/教育市場においては、電子黒板とタブレットの導入が徐々に加速している。マジック・プライスではないが、行政や学校の運営母体が予算を確保できれば、急速に普及する可能性も高いだろう。シャープとしても、そのポイントに向けて強くアピールしていく考えだ。

発表会のプレゼンテーション(抜粋、クリックで拡大)