Bunkamura、日本経済新聞社は、19世紀フランスの壁画家であるピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの作品を展示する「シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界」を開催する。会期は2014年1月2日~3月9日、開館時間は10:00~19:00(毎週金・土は21:00まで、入館は閉館の30分前まで)。会場は東京都・渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」。入場料は一般1,400円、大学・高校生1,000円、中・小学生700円。

《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》 1884-89年頃 シカゴ美術館蔵 Potter Palmer Collection 1922.445 Photography (c)The Art Institute of Chicago

《プロ・パトリア・ルドゥス(祖国のための競技)》 1885-87年頃 個人蔵

同展は、フランス近代絵画の巨匠とされながらも、日本ではまとまってみる機会がこれまで作られてこなかった、壁画家のピュヴィス・ド・シャヴァンヌの作品を一挙に紹介する日本初の回顧展。オルセー美術館やリヨン美術館、シカゴ美術館など、世界の名だたる美術館からシャヴァンヌの作品群が集結し、壁画として表現された世界を、作家本人の手による貴重な再制作(縮小版)を展示する。

また、シャヴァンヌの斬新な芸術は、日本近代洋画の展開にも深く寄与してきた。そのため、同展では、フランスに留学してシャヴァンヌに直接会った黒田清輝の作品を題材に、古代の神話世界を志向したシャヴァンヌが日本の洋画の展開に及ぼした影響を探っていくということだ。

《幻想》 1866年 大原美術館蔵

《海辺の乙女たち》1879年頃オルセー美術館蔵 (c)RMN-Grand Palais (musee d' Orsay) / Herve Lewandowski / distributed by AMF-DNPartcom

《慈愛のための習作》 1893-94年頃 岐阜県美術館蔵

なお、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824年~1898年)は、19世紀フランスを代表する壁画家。リヨンの裕福な家に生まれ、1846年のイタリア旅行を機に画家を志し、短期間ではあるがロマン主義の巨匠ドラクロワや、アカデミスムの画家トマ・クチュールらに師事。1861年のサロンで国家買上となった作品がアミアンのピカルディ美術館に設置されたのをはじめとして、その後マルセイユ美術館、パンテオン、リヨン美術館、パリ市庁舎などの公共的建築の壁画を制作した。これらの壁画のなかで、シャヴァンヌは独自の解釈によって理想郷アルカディアを描き出しており、その含意に満ちた世界から象徴主義の先駆者として位置づけられている。