東京都産業労働局は、都内にある中小製造業の魅力を発信することを目的に、年2回「輝く技術 光る企業」という無料の冊子を発行している。主な配布先は都内の工業高校や理工系の大学などで、そこには若者に製造業の現場で働いてほしいというメッセージが込められている。

輝く技術 光る企業は年2回発行している

同冊子は都内の中小製造業の会社情報・インタビューなどを掲載するもの。1社ごとに見開き2ページを用意し、仕事現場の写真などを使って丁寧に紹介している。

「冊子の作成で重要なのは現場にいる若手社員のコメント(東京都産業労働局 商工部 経営支援課長の堀内弘氏)」だという。工学系の勉強をしている学生であっても、各社の技術を詳細に伝えるのは難しい。若手社員の入社理由や仕事内容、やりがいなどのコメントを掲載するなど、誌面作りでは実際に手に取った学生がその会社に就職したときのイメージを描きやすいようにしているという。

「冊子を作るきっかけとなったのは団塊世代の大量退職、いわゆる2007年問題のとき」(同氏)。都内の製造業でも多くの技術者が退職し、社内の技術を残すことが困難になるほど危機的な人手不足になった企業もあったという。また、若者の"大企業志向"や"ものづくり離れ"も続いていることもあり、人手不足を解消するために東京都は2008年、同冊子の発行を開始した。現在は第10号で、第11号の発行を2014年の2月に予定している。また、冊子だけでなくWebページ上で情報を随時更新している。

なお、産業労働局は冊子のほかにもさまざまな支援を行っており、学生が特定の企業へ直接訪問して社長や社員との交流や現場の雰囲気を体感する「仕事体験ツアー」の企画、企業の成長と成功を動画で紹介する「モノづくり、ものがたり。」などがある。