同じく著名なMicrosoftウォッチャーであるPaul Thurrott(ポール・サロット)氏による、"デスクトップで複数のWindowsストアアプリが動作する"という情報がある。さらにスタートボタンだけでなく、以前のスタートメニューが復活する可能性が高いという。

これはMicrosoftが、モダンUIを推し進めたSteven Sinofsky(スティーブン・シノフスキー:現在は退社)氏の方向性を部分的に否定し、ユーザーに受け入れられなかったことを認めた結果といえる。確かに一般的なデスクトップPCやノートPCよりも、タブレットが主流になりつつあるため、Sinofsky氏のタブレット指向は間違いではない。しかし、スタートボタンの廃止などデスクトップの大幅な変更は、あまりにも急激すぎたのだ。

スタートメニューがついに復活?

この、"Threshold"がスタートメニューを搭載するという件に関して、Foley氏は続報を出している「What might a new Windows Start Menu look like?」と題した記事で、Microsoftは"ミニ・スタート"メニューの再導入を計画している可能性が高いという。

こちらもThurrott氏からの情報だと前置きしたうえで、Foley氏は"Threshold"のUIには2つの特徴的な機能が用意されるかもしれない、と伝えている。一つはWindowsストアアプリをデスクトップ上に浮かせるというもの。もう一つは前述のスタートメニューの存在だ。スタート画面は慣れれば使えるものの中上級者にとって便利な存在ではないとも述べている。

だが、筆者も各記事で述べてきたように、中上級者はボタン式やコマンドライン式のランチャーを導入し、独自の使用スタイルを確立していることだろう。そのためスタートメニューがなくても、さほど困るものではないという感想に至った。

図06 Windows 8.x上でスタートメニューを再現するソフト「Classic Shell」もある(図06)。

問題は初心者、PCに詳しくない層だ。Windows 7以前のデスクトップスタイルを使ってきたユーザーにとって、Windows 8.xのモダンUIは新たに勉強し直さなければならないほど、急激な変化が加わっている。そのため、多くの企業がWindows XPの移行先としてWindows 7を選択しているのが現状だ。

Windows 7などのデスクトップ環境を利用し続けたいユーザーにとっては、"Threshold"では「traditional consumer」が唯一の選択肢となる。同SKUはキーボードやマウスによる操作を主体としており、現Windows 7/XPユーザーがWindows 8.xに移行しない理由としてあげている"操作の一貫性の欠如"は解決される可能性が高い。

しかし、Foley氏の情報によると、Microsoft内部では"Threshold"のスタートメニューを"ミニ・スタート"と呼んでおり、同氏がWindows 7と同じスタイル(ドキュメントやピクチャーなどを含むスタートメニュー)かと尋ねても、具体的な機能を示す返事はなかったという。

"Threshold"のリリースは2015年春に予定されているが、その前にWindows 8.1 Update 1 (仮称)が2014年春から2014年第2四半期の間に登場する予定だ。技術的な問題がなければ、このUpdate 1でミニ・スタートやWindowsストアアプリのフロート機能を搭載するかもしれない。

阿久津良和(Cactus)