ではなぜアクションゲームやスポーツゲームが上位にランクインしにくいのか。それは言うまでもなく、iOSデバイスの操作性が従来の家庭用ゲーム機のコントローラと異なっているからだ。「ストリートファイターIV」など、タッチに最適化されてヒットしたタイトルもあるが、それでもiOSのタッチデバイスオンリーでは、コアなゲーマーがやり込むには少々物足りない。

そこでロジクールが今回、満を持して発売するのが、iOSデバイスに家庭用ゲーム機のコントローラのような操作性を持たせることができるG550なのである。

このG550、そして他社からも発売が予定されているiOSデバイス用ゲーミングコントローラの登場により、スマートフォンのゲーム市場は大きく変化すると古澤氏は見ている。

ひとつは、「ゲーム体験の変化」だ。十字キーと物理的なアクションボタンという、ゲーマーにとっては慣れ親しんだ操作性がG550でもたらされることで、ゲーム体験の変化をエンドユーザーに直に感じてもらうことができるというわけだ。

これに伴って起こるのが、「リリースタイトルの変化」である。メーカー視点での話になるが、「十字キーとアクションボタンが加わることで、家庭用ゲーム機で過去に発売していたタイトルをiOS向けに移植する良い機会になる」と古澤氏は言う。また、一部タイトルではアップルTVを介して大画面でもプレイできるようになる。たとえば、アクション性の高いゲームを、外出先ではiPhoneとコントローラで遊び、帰宅後はアップルTVを使って大画面で遊ぶといった具合だ。

これらの変革が進むことで、最終的には「プラットフォームの変化」が起きると古澤氏は述べる。これまで、家庭用ゲーム機であれば、同じタイトルを複数のプラットフォームでリリースすることは当たり前のことだった。そこになぜiOSが加わっていないかというと、前述した操作性の壁があったからだ。コントローラの有無はゲームにとってそれほどまでに重要な要素なのである。

しかし今後は、G550のリリースにより、iOSデバイスでもコントローラが使えるようになる。すでに64bit対応しており、PC並みのスペックを備えているiPhoneにコントローラが加われば、家庭用ゲーム機でリリースされるようなリッチなタイトルも遊ぶことができるのだ。となると、パブリッシャーがこの巨大な市場を見逃すはずはない。「今後パブリッシャーがソフトを作る際、PC、家庭用ゲーム機、iOSデバイスという3つのデバイスが候補に入ってくる。来年は大きなゲーミングのソリューションが生まれる年になるだろう」と古澤氏は予測している。