2013年11月27日~29日に「FileMaker カンファレンス 2013」が開催された。初日午前中のオープニングセッションでは、新製品のFileMaker 13ファミリーが紹介され、それを受け同日午後にファイルメーカー社社長のビル・エプリング氏と、米FileMaker Inc.システムエンジニアリング・ディレクタのアンドリュー・ルケイツ氏に話を聞く機会を得た。その模様をお伝えしよう。

ビル・エプリング(Bill Epling)=写真左
ファイルメーカー株式会社社長 兼 FileMaker,Inc. シニア・バイス・プレジデント、最高財務責任者。
FileMaker Inc.の前身であるClaris.Corpにおいて1996年に最高財務責任者に就任し、以来同役職で財務および情報システムやIT・施設部門を統括する。過去にはApple Franceにおいて財務担当の取締役、Apple Europeにおいて租税と財務担当の取締役を務めるなど、幅広い国際的な経験を持つ。
アンドリュー・ルケイツ(Andrew LeCates)=写真右
FileMaker,Inc.システムエンジニア。
FileMaker,Inc.の北米に於けるシステム・エンジニアリング・チームを統括。20年以上にわたり、開発者・講師・エバンジェリスト・著者・コンサルタントとして活躍。FileMaker 7、8、9、10、11、12 認定デベロッパ、および FileMaker 公認トレーナーの資格を有し、例年FileMaker Developer Conferenceで講師を務める。

--- 新製品のリリースにあたって、まずはこれまでのバージョンであるFileMaker 12ファミリーの成果を聞かせてください。

エプリング たいへん順調でした。特に、新規のお客様を記録的に多く獲得できたことを喜んでいます。これはFileMaker Goを無償化したことによるものですが、この無償化は同時に、既存のお客様がアップデートし継続して使ってくださることにもつながりました。ファイルフォーマットの変更による影響は明確には把握していませんが、バージョン13の魅力的な機能で新バージョンへの移行はさらに進むと考えています。

--- 今のお話にあったように、バージョン12ではFileMaker Goが無料になりました。新製品のバージョン13では、FileMaker GoとWebブラウザからFileMaker Serverへの最大接続数に対するライセンス料という料金形態になっています。AVLA(アニュアル ボリューム ライセンス アグリーメント:1年単位のボリュームライセンス)もあります。このように、近年、料金モデルが変化していますね。

エプリング こうした傾向は、お客様にとっても弊社にとってもメリットがあると考えています。お客様にとっては、サブスクリプションの料金モデルは予算を立てやすく、最新テクノロジーを必要に応じて柔軟に取り入れられます。また、導入コストが低いので、大きな意思決定を省けます。弊社としても、売上が継続的で予測が立てやすいので、自信を持って将来に対する投資ができます。

--- 今回のオープニングセッションで、新しいFileMaker 13ファミリーが紹介されました。手応えはいかがでしたか。

エプリング これだけ多くの方を対象にデモンストレーションも交えてバージョン13を紹介したのは、今回が初めてでした。大切な日本のお客様に状況を知っていただきたかったので、正式発表前でしたが紹介しました。日本のお客様は米国と比べるといつも全般に控えめですが、ニコニコしたりうなずいたりしながら聞いてくださった方が多かったですね。

ルケイツ 好意的な反応をいただいて、エキサイティングでした。お客様の表情の変化がわかりましたし、拍手も起きましたね。WebDirectやFIleMaker Proの新機能はもちろんですが、FileMaker ServerのAdmin Consoleも向上したので喜んでいただけたと思います。

--- 今回の大きな新機能、WebDirectが登場した背景は。

ルケイツ FileMakerのインスタントWeb公開は10年以上前からありましたが、さらにFileMakerの体験をさらにリッチなものにしたいと考えていました。お客様はインスタントWeb公開を積極的に活用してくださっていましたが、やはりできることには限界がありましたから。技術的には、HTML5などのリソースが整ってきましたし、ブラウザの動作が速くなり標準にも準拠するようになってきました。このように多くの要因が揃ったことで、私たちの望んでいたことが届けられるようになりました。もちろん、このタイミングでリリースするために準備は整えてきたわけですが。インスタントWeb公開からWebDirectへの移行は最小限の労力で済むように設計しており、切り替えるメリットは大いにあります。たとえばフィールドのデータの更新はすぐに反映されますから、グループでのコラボレーション作業に大きな違いがありますね。