国内外のトップレベルの放送機器、映像機器、音響機器、照明機器、IPTV、Mobile TV、クロスメディア、周辺アプリケーションやソリューションが一堂に会する音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE 2013」(2013年国際放送機器展)が、千葉市・幕張メッセにおいて開催された。本レポートでは、主にイベント会場の映像・放送関連機材部門から気になるブースをピックアップし、俄然注目の集まっている4K、8Kへの高解像度化をキーワードしたビデオ関連製品を中心にレポートをお届けしていこう。

ローランド

ローランドブースでは、先日発表されたばかりのマルチフォーマット・ビデオ・プレゼンター「PR-800HD」や、放送設備用オーディオ・レコーダーの最上位モデル「AR-3000SD」を中心とした展示が行われ注目を集めた。また、3G/HD/SD-SDI/HDMI入力&USB3.0出力を装備し、映像と音を1台で扱えるAVミキサー「VR-50HD」、高い汎用性と安定性を誇るビデオ・コンバーター「VC-1シリーズ」、さらに、専用iPadアプリ(iOS7対応)からのコントロールが可能なオールインワンデジタルミキサー「M-200i」や、同社ライブミキシング・コンソールのフラッグシップ・モデル「M-480」、デジタル音声伝送技術「REAC」製品群などもラインアップ。イベントや設備、収録から編集に至るまで幅広く活躍する多彩なソリューションを1ブランドでトータルに提供する、同社ならではの魅力が体感できた。

「PR-800HD」は、スポーツイベントやコンサートで今や欠かせない大型スクリーンを使った映像演出を高画質・高品質で実現するマルチフォーマット・ビデオ・プレゼンター。一方「AR-3000SD」は、ショッピング・モールや駅・空港構内の放送を、高機能・高音質で提供するーディオ・レコーダーだ

アストロ

アストロブースでは、4K/8Kに対応した高解像度カメラをはじめ、HDTVシステム、スタジオカメラ、デジタルシネマカメラ、撮像装置、周辺機器など幅広いシーンに対応する多彩な製品がラインナップ。NHKとの共同開発により 手のひらで容易にグリップできるCube型の筐体に、未体験の映像美を駆使するための次世代技術を凝縮した単板式8Kスーパーハイビジョンカメラ「AH-4800」をはじめ、8KスーパーハイビジョンRAW SSDレコーダー「HR-7516」、8K×4K対応デジタルビデオ信号発生器「VG-876」、2014年2月発売予定の4K波形モニター「WM-3206」などの実機展示が行われた。また、PCに同社4Kフレームメモリボード「GG-167-4K」と再生ソフトウェアを内蔵することで、4K映像を気軽に扱える「4Kプレイヤー」も参考出品されていた。

2016年実用化試験放送に先駆け、2014年登場予定の4K/8Kに対応した最新製品、モニター、レコーダーなどが多数出品。同ブース入口付近には、8K超高精細スーパーハイビジョン映像を上映する、96面のマイクロタイルを使用した大型スクリーンも設置されていた

パナソニック

パナソニックブースでは、P2HDシリーズ初のAVC-ULTRAカメラレコーダーとなる最新モデル「AJ-PX5000」、31型放送業務用4K液晶モニター「BT-4LH310」、放送用2M/Eライブスイッチャー「AV-HS6000」が登場。さらに、AVC-ULTRAコーデックを採用した初のmicroP2ハンドヘルドカメラレコーダー「AJ-PX270」や、スーパー35mmセンサー&PLマウントのハイエンドシステム「VARICAM」の4K対応モデル、AVC-ULTRAをサポートした4Kエンコーダーボードなども参考出品され、来場者から注目を集めていた。

将来を見越した映像制作の現場で即戦力となる4Kカメラレコーダーなどを中心としたソリューション提案が行われた。話題の「AJ-PX270」では、無線ネットワークやデュアルコーデック記録を活用した「AVC-longGクラウドワークフロー」などにも将来対応が予定されている

キヤノン

映画やMVの制作現場などで急速にシェアを拡大する「CINEMA EOS SYSTEM」、EOS C500/EOS C300/EOS C100/EOS-1D Cなどの各種モデルに人気が集まっていた。また、2013年12月上旬発売予定のEFシネマレンズ「CN-E35mm T1.5 LF」や4Kディスプレイ「DP-V3010」といった最新製品も実機展示された。なお、EOS C100は、すべてのEFレンズで革新的な撮像面位相差AF技術「デュアルピクセルCMOS AF」に対応させるファームウエアの更新サービスを、2014年2月より有償で開始すると発表されており、今後さらに関心が高まりそうだ。さらに、キヤノンブース内のステージでは、映画・放送で活躍される監督、カメラマンらを招いて、4KワークフローをはじめとしたCINEMA EOS SYSTEMの機能や活用事例などを紹介するスペシャルセミナーなども開催されていた。

「CINEMA EOS SYSTEM」は、映像制作用のレンズやカメラで構成され高い汎用性と機動力を誇る。プロのニーズに応える同社業務用デジタルビデオカメラのXシリーズや、置き撮りムービーカメラの最新モデル「iVIS mini」なども展示された

レッドディジタルジャパン

レッドディジタルジャパンブースでは、世界中で高い評価を得ている同社の高解像度デジタルスチールモーションカメラ「RED EPIC」をさらに進化させた「RED EPIC-M Dragon」や、電子NDフィルターを内蔵したPLマウント「RED MOTION MOUNT」が国内初公開した。RED EPIC-M Dragonは、新開発の19メガピクセル/6K RED DRAGONセンサーを採用しており、フル6Kという超解像度での撮影を実現。また、4K R3Dファイルをリアルタイムトランスコード再生可能なPCIe対応レンダリングボード「RED Rokcket-X」や、4Kコンテンツを4Kディスプレイで表示するシンプルで使いやすい最初のプラグ・アンド・プレイのデバイス「REDRAY 4Kプレイヤー」などもを出展された。

日本初公開となった「RED EPIC-M Dragon」では、1080pのHDの最大9倍ものピクセルとなるフル6K解像度を提供する。なお、既存モデルのユーザーに対しての「EPIC RED DRAGON」有償アップグレードも用意されるとのこと