紅葉シーズン真っ只中。東京などの都会では、これから見ごろを迎えるスポットもまだあります。今回は、誰にとっても身近でありながら、こだわればこだわるほど奥深く感じられる被写体、紅葉の撮り方について、その基本ポイントを5つに絞って解説します。

「一歩上ゆくデジカメ活用術」バックナンバー
第1回 イルミネーションを利用してボケのある夜景写真を撮る
第2回 冬の逆光を生かして印象的なスナップショットを撮る
第3回 水族館の生き物たちを幻想的なイメージで撮る
第4回 夜空に浮かび上がる満天の星を撮る
第5回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・表情編
第6回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・背景編
第6回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・背景編
第7回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・焦点距離編

ホワイトバランス:太陽光(写真をクリックすると拡大します)

ホワイトバランス:オート(写真をクリックすると拡大します)

まずはカメラの設定について確認しましょう。さまざまな機能の中でも、紅葉撮影で特に大切になるのはホワイトバランスの設定です。初期設定の「オート」ではせっかくの鮮やかな色が補正され、色が薄く感じる場合があります。そんなときは、オートではなく「太陽光」に切り替えること。実際の天候には関係なく「太陽光」を選択すれば、紅葉の赤や黄色がいっそう引き立ちます。

また、太陽光よりもさらに赤みを強調したい場合には、ホワイトバランスを「くもり」や「日陰」に切り替えるのもいいでしょう。注意したいのは、くもりや日陰を選んだ場合、紅葉の赤みが強くなると同時に、青空や建物など紅葉以外の部分も赤かぶりし、シーンによって不自然な印象を受ける場合があることです。基本はやはり「太陽光」で、状況に応じて「くもり」や「日陰」を選ぶくらいの使い分けがお勧めです。

ホワイトバランス設定画面。このカメラの場合、「太陽光」では色温度約5200ケルビンで、「くもり」では約6000ケルビン、「日陰」では約7000ケルビンとなります。色温度の数値は高いほど、赤みは強くなります

次に大切なポイントは、太陽の位置を確認することです。同じ紅葉でも、光が当たる角度と方向によって、写り方はまったく違ったものになります。具体的には、光が正面から当たる「順光」の条件では、紅葉の色が明るく鮮やかに再現され、素直でストレートな写真になりやすいといえます。ただし順光では、平坦な印象を受ける場合もあります。

光が横から当たる「サイド光」や斜めから当たる「斜光」の場合は、紅葉に陰影が生じ、奥行きを感じる描写が得られます。さらに、よりドラマチックなイメージを求めるなら、撮影者が太陽に向かって立つ「逆光」での撮影が効果的です。太陽そのものを写し込んで画面に輝きを加えたり、背後から差す光によって透き通るような色で紅葉を表現できます。

順光で撮影。絞り優先AE(F8 1/80秒) 露出補正:-0.3 感度:ISO100 WB:太陽光 焦点距離:18mm カメラ:PENTAX K-3(写真をクリックすると拡大します)

サイド光で撮影。絞り優先AE(F8 1/40秒) 露出補正:±0 感度:ISO100 WB:太陽光 焦点距離:31mm カメラ:PENTAX K-3(写真をクリックすると拡大します)

逆光で撮影。絞り優先AE(F11 1/30秒) 露出補正:±0 感度:ISO100 WB:日陰 焦点距離:40mm カメラ:EOS 6D(写真をクリックすると拡大します)