「一歩上ゆくデジカメ活用術」バックナンバー
第1回 イルミネーションを利用してボケのある夜景写真を撮る
第2回 冬の逆光を生かして印象的なスナップショットを撮る

カラフルで愛らしい魚やゆらゆらと泳ぐクラゲなど、水族館は撮影意欲がそそられる被写体の宝庫。思わず壁紙にしたくなるような美しい写真や、心を癒やす神秘的な写真が自分の手で撮影できます。今回は、そんな水族館撮影のコツを紹介します。

絞り優先AE(F1.8 1/160秒) 露出補正:±0 感度:ISO2000 WB:オート 焦点距離:45mm カメラ:「OM-D E-M5」(写真をクリックすると拡大します)

たくさんの生き物がいる水族館の大水槽には、見る人の心を引き付ける迫力と美しさがあります。でも、ただ何となくキレイだと感じてシャッターを切っても、自分が受け取った印象通りの写真にはなりません。ワクワクする気持ちは大切ですが、その一方で、水族館の何をどう撮るのか、冷静に考えるアタマが写真撮影には欠かせません。

狙い通りの写真を撮るための第一歩は、あれもこれもと欲張らず、撮影ターゲットをひとつに絞ることです。数多くいる生き物の中から、まずは自分がお気に入りの一匹を選び、その一匹を確実に捉えることから始めてみましょう。

下の写真はパシフィックシーネットルという大型のクラゲで、その次は食用でもおなじみのアオリイカです。どちらも、魚のように水槽内を素早く泳ぎ回ることはなく、比較的ゆっくりと動くため、撮りやすい生き物といえます。しかも、からだを揺らすように常に動き続けているので、刻一刻と切り替わる表情の変化が楽しめ、それがシャッターチャンスになります。

写真をクリックすると拡大します

絞り優先AE(F2.8 1/250秒) 露出補正:±0 感度:ISO3200 WB:オート 焦点距離:60mm カメラ:「OM-D E-M5」

マニュアル露出(F2.8 1/500秒) 露出補正:±0 感度:ISO6400 WB:白熱電球 焦点距離:100mm カメラ:「EOS 5D Mark III」

撮影時の注意点としては、まず、ぶれ対策が欠かせません。フルオートのままでは「被写体ぶれ」が生じることがあるため、感度を手動でISO1600以上にセットします。高感度になるほど、それに伴ってシャッター速度が速くなり、被写体ぶれを軽減できます。シャッター速度は1/125秒を目安に、可能なら1/250秒以上を確保したいところです。ストロボは「発光禁止」モードを選択。露出やホワイトバランスについては、通常はオートのままで問題ありません。

水槽のガラスやアクリル板への映り込みにも要注意です。撮影時のカメラの位置や角度によっては、ほかの水槽の照明や展示パネルなどがガラスの表面に反射したり、撮影者自身の姿やカメラが映り込んでしまうことがあります。これを避けるには、水槽にレンズをできるだけ密着させて撮ること。密着できない場合は、映り込みが生じないカメラアングルを探すようにします。構図としては、背景ができるだけシンプルになるように心がけると、生き物のみが際立ちます。

以上のような最低限の注意点とカメラの基本設定をマスターしたら、次は、撮影のテーマとして「何を狙うか」が重要になります。単に生態写真を撮るだけなら、深く考えずにストレートに撮るので十分かもしれません。しかし、趣味として写真撮影を楽しむ場合は、図鑑のような写真ばかりでは味気ないでしょう。自分ならではの工夫やこだわりが欲しいところです。

マニュアル露出(F2.8 1/1000秒) 露出補正:±0 感度:ISO6400 WB:晴天 焦点距離:100mm カメラ:「EOS 5D Mark III」(写真をクリックすると拡大します)

私自身が実践している撮り方は、生き物をじっくりと観察し、自分が面白いと感じた動きや表情など、興味を持った部分にポイントを絞ることです。例えば上の写真では、しなやかに動くコイの胸びれとヒゲに着目し、その部分をクローズアップで捉えてみました。さらに、ふだんあまり目にすることがない魚の真正面からの表情は、私がいつも狙ってコレクションしているテーマのひとつです。

写真をクリックすると拡大します

マニュアル露出(F2.8 1/800秒) 露出補正:±0 感度:ISO3200 WB:オート 焦点距離:60mm カメラ:「OM-D E-M5」

マニュアル露出(F2.8 1/500秒) 露出補正:±0 感度:ISO3200 WB:オート 焦点距離:60mm カメラ:「OM-D E-M5」

次ページ: 生き物と人が重なるシャッターチャンスを狙う