米国時間2013年10月22日のイベントでAppleが発表したiPad AirとiPad mini Retinaディスプレイモデル。iPad Airは第4世代iPad(Wi-Fiモデル)の652gから183gも軽量化された469gとなり、薄くなって、携帯性が向上した。iPad Airは11月1日に発売されている。

そして米国時間11月12日に、AppleはオンラインストアでiPad mini Retinaディスプレイモデルを発表した。早速米国で購入したので、これまでのiPad miniユーザーの視点で、新iPad mini Retinaディスプレイモデルのファーストインプレッションをお届けする。

念願のRetina化

iPad miniを1年使ってきて、最大の不満は、ディスプレイだった。今回、Retinaディスプレイを搭載したことで、筆者にとってiPad miniにおけるほぼ唯一にして最大の欠点であった点が改善された。なぜそんなに重要なアップデートだったのか。

iPhone 4がRetinaディスプレイを搭載してから、Appleはモバイルデバイスからプロ向けノートブックへと、「Retina化」を推し進めてきた。筆者も以前から、Retinaディスプレイを搭載した第3世代iPadを使っていたことや、iPhone、MacBook Proと、自分の目に触れるディスプレイが全てAppleが定義するRetinaディスプレイに置き換わっていたこともあり、RetinaではないiPad miniに見劣りしていたのだ。

iPad mini Retinaディスプレイモデル(左)と初代iPad mini

右がiPad mini Retinaディスプレイモデルで左が初代iPad miniのディスプレイ

また筆者にとってiPad miniを使い始めたきっかけにも、Retinaディスプレイ搭載は関係している。KindleやiBooksで本を読もうと考えていたためだ。

より軽く電池の持ちも長いKindle Paperwhiteという選択肢もあったが、Kindleを買うと電子書籍専用端末になってしまう。カバンの中のものを増やしたくないということもあり、Kindleアプリが利用できるiPadで済ませようと思った。本を読むとなると長い間タブレットを手に持っていなければならないため、当時652gだった9.7インチのiPadでは長時間読書をするのは現実的ではないと思った。そこで、308gのiPad miniを使うことにしたのだ。

しかし、本を読むとなるとなおさら、Retinaディスプレイの重要性が高まる。高精細なディスプレイはビデオ再生や画像を見るのに良いことはもちろんだが、Retinaディスプレイで決定的に変わったのは文字の読みやすさだと感じていた。タブレットとして多数のアプリを利用でき、読書をするにも重たすぎないiPad miniは最適なデバイスのように見えたが、電子書籍を読む際にRetinaではないことに、不満が募っていた。

そのため今回のRetinaディスプレイ搭載のiPad miniは、筆者が抱えていた不満を解決してくれる、大きな進歩となった。

高精細ディスプレイは文字だけでなく、ビデオや写真ももちろん美しく映し出してくれる。iPhone 5sで撮影した写真がフォトストリームを介して自動的にiPadに入ってくるため、iPhoneの画面で見る以上に美しさを感じることができる。また、カメラは500万画素と変わらないが、後に述べるA7チップによる処理速度の向上と、フルHD動画撮影中のズームに対応するなど、機能の向上も得られている。

カメラは500万画素と変わらないが、フルHD動画撮影中のズームに対応するなど、機能の向上が図られている