ローランドは、現在幕張メッセで行われている国際放送機器展「Inter BEE 2013」(11月15日まで)にて同社が出品している音響/映像機器の最新製品を、先行して紹介するイベント「ローランドInter BEE 2013プレビュー」を、このほど同社東京オフィスにて開催した。

同イベントのメインプレゼンテーションにて初お披露目されたのは、大型スクリーンを使った映像演出を高画質・高品質で実現するマルチフォーマット・ビデオ・プレゼンター「PR-800HD」(2014年春発売予定)と、多目的かつプロフェッショナルユースなオーディオ・レコーダーの最上位モデル「AR-3000SD」(2014年4月予定)の2製品。

2003年に登場したデュアルストリームに対応したビデオ・プレゼンター「DV-7PR」から約10年を経て登場した最新機種「PR-800HD」は、時代の流れを反映し、SD映像やHD映像をさらに上回るハイクオリティーなフルハイビジョン映像をジャストタイミングで再生可能なマシンへと進化した。スポーツイベントや音楽コンサート、展示会など、多彩なライブイベントで、今や欠かすことのできない映像演出を、優れたリアルタイム操作性、高精細化された映像、複数台のシステム連携などにより強力にサポートする。

専用に設計されたハードウェアは、本体にSSDスロットを2基搭載。2台のSSDをRAID 0(ストライピング)で高速駆動し、3Gbpsのデータ伝送に対応。非圧縮1080/60pのプログレッシブ映像をSDI端子およびHDMI端子から同時出力可能としている。さらに、タイムコード/リファレンス信号の入出力、最大8チャンネルのオーディオ出力(別売の汎用ブレイクアウトケーブルを利用)なども装備し、高画質および高音質な入出力とリアルタイムでの映像コントロールを実現。なお、対応フォーマットは、非圧縮 YUV 422 (.avi)/非圧縮 RGB (.avi)/MPEG-2 Intra-Only CBR(100~300Mbps)/静止画(.jpg, .bmp, png, .tiff)などがネイティブ再生可能となっている。

1080p&RGBフォーマットに対応する「PR-800HD」は、ダイレクトにキャプチャもできる専用ハードウェアを搭載。USB3.0にも対応しており、USBメモリやHDDからの映像素材の高速読み込みや、プロジェクトデータの書き出しを瞬時に行える

大きく進化したハードウェアと、定評のあるユーザインタフェースを継承したソフトウェア。「PLAYモード」では、約0.1秒のクイックレスポンス再生をはじめ、再生速度コントロール、切替効果「デュアルストリーム」などを備える

リファレンス信号の入出力により、大規模な映像送出などの際に必須となる、フレーム単位の映像同期に対応した複数台同期システムを構築できる。再生の制御は、MIDI(要別売りMIDIインタフェース)またはRS-232C、もしくはネットワーク(後日アップデート)に対応する

また、「AR-3000SD」は、商業施設や、駅や空港、イベント会場などの放送設備として多彩なシーンで利用実績と高信頼性を誇る同社オーディオ・レコーダー「ARシリーズ」の最上位モデル。本製品では、従来モデルとの互換性を保ちながら、さらに高機能・高音質を実現。24bit/96kHz(非圧縮 Wav)のオーディオデータの録音/再生が可能となり、より音質が向上しデジタル出力(AES/EBU)も搭載された。また、標準装備となったLAN端子を接続すれば、WEBブラウザ経由での状態監視や設定の変更、メンテナンス作業、NTPクライアント機能による内蔵時計の自動時刻修正、ネットワーク経由で音声データの制御/差し替えなども行え、ユーザーのニーズや使用シーンに合わせたシンプルかつ合理的なシステムを構築できる。

さらに、週間および年間スケジュールの管理が可能な「プログラマブル・タイマー機能」(最大1日50イベント/14日分)を内蔵しており、時間やカレンダーによる音声送出管理が可能となった。定時・定刻で動作する必要のある重要なアナウンスの年間プログラムなども、同製品一台だけで運用が行える。なお、LINE INから入力されたBGMとアナウンスやインフォメーション、時報などを自動ミックスして出力できる「ライン・スルー機能」(フェード・イン/フェード・アウト可)にも対応している。

「AR-3000SD」は、施設での定時アナウンス、イベントでのナレーション、各種防災放送など多用なシーンで活躍するデジタル・インフォメーション・マシン。スイッチやセンサーなどの簡単な制御から、PCを使用した複雑な制御方法まで幅広く対応が可能

記録媒体にコンパクト・フラッシュ・メモリーに加え、SD/SDHCメモリーも採用。本体にメカ部を持たないメカレス構造により、メンテナンスフリーな高耐久性を実現する。USBメモリーへのデータ・バックアップ/リストアにも対応

ほか、イベント会場では、キー合成(キーフレーム付き)をはじめとした映像効果やフィルター効果が追加されたハイビジョン編集のターンキー・モデルであるHDビデオワークステーション「DV-7HD」(Ver.2.0/2014年初頭リリース予定)をはじめ、ハイビジョン配信と収録を1台で実現するマルチフォーマットAVミキサー「VR-50HD」、放送業界などからも高い評価を得ているビデオコンバータ製品「VC-1」シリーズ、あらかじめ取り込んだソングファイルを順次再生可能な「Play Stand-By」機能を追加した、48トラックHDDレコーダー/プレイヤー「R-1000」(Ver.1.102)、専用リモート・コントロール・アプリがiOS 7に対応した高音質ライブ・ミキシングのすべてを凝縮したライブ・ミキシング・コンソール「M-200i」など、同時に発表された既存製品の最新アップデートも展示され、初公開製品と共に来場者からの注目を集めていた。

イベントでは、初公開となる2製品に加えて、新製品の「VR-50HD」、「VC-1-SC」、各種アップデートが行われた最新バージョン「DV-7HD Ver.2.0」、「R-1000 Ver.1.102」 、「M-200i」などの展示も行われた