東洋新薬は11月11日、佐賀県固有の香酸柑橘類「ゲンコウ」果皮抽出物の育毛作用を動物試験にて確認したと発表した。

研究の詳細な内容は、11月9日・10日に東京・一橋大学で開催された「第20回日本未病システム学会学術総会」で発表された。

ゲンコウは、佐賀県馬渡島に自生する同県固有の香酸柑橘類の1種で、果皮が厚く酸味が強いことから、地元では調味料としても利用されている果実だ。馬渡島の山間部はかつて隠れキリシタンが住んでいたとされ、ゲンコウは宣教師が持ち込んだといわれている。

柑橘類の果皮を乾燥させた「陳皮」は古来より生薬として用いられており、健胃、利尿、鎮咳、去痰の作用があることが知られている。また、柑橘果皮に含まれる成分には抗炎症作用、血流促進作用があるという報告もあり、近年、柑橘果皮の機能性に注目が集まっているところだ。

同社は2012年1月に、本部・工場を置く佐賀県と産業振興に関する協定を締結し、佐賀県内の地域資源の付加価値創出に取り組んでおり、その中で同県固有のゲンコウの機能性に着目した研究を進めている。そうした研究により、同社はこれまでにゲンコウ果皮抽出物が、毛髪形成の指令を出す細胞である「毛乳頭細胞」における、毛髪の元となる毛母細胞の増殖を促進し、毛髪の成長を促す「成長因子」(細胞間の信号物質として働き、増殖や分化を促進する内因性タンパクの総称)である「FGF7」と「VEGF」の発現を亢進することを細胞・遺伝子レベルで確認している。

そこで同社は今回、ゲンコウ果皮抽出物の育毛作用に関する追加知見を取得するために、動物試験にて検証を実施した。試験は、剃毛により毛周期を同調させやすいために育毛評価試験に汎用される「C3H/HeNマウス」を剃毛し、ゲンコウ果皮抽出物を塗布したゲンコウ群と、精製水を塗布した対照群の2群に分けてそれぞれを24日間連日塗布し、育毛状態をスコア化して評価するという内容である。その結果、対照群と比較しゲンコウ群では強い育毛作用が認められたというわけだ。

同社は今後もゲンコウの機能性を探求し、独自性の高い素材開発、商品開発に注力していくとしている。