軽自動車や小型車にも搭載が進む衝突回避・被害軽減系技術

続いては、衝突回避・被害軽減ブレーキ系のデモを多数紹介しよう。こうしたシステムの装備の仕方は、大きく2種類に分かれる。高級車用と、軽自動車や小型車用だ。運転支援システムは決してシステムとして安価なものではないため、もともと車両価格の高い高級車に組み込む場合は問題ないが(高機能を付加したハイエンドモデルとして案内できる)、もともと車両価格の安価さそのものがセールスポイントであるような軽自動車や小型車だと、あまりに高機能な運転支援システムを組み込むと車両価格が1.5倍、下手したら倍ということにもなりかねず、いくら安全性が上がるからといってそれではその車の特色が失われてしまうわけで、意味がない。

かといって、これだけ運転支援システムが好評を博してスバルでEyeSightが売り上げに貢献している以上、まったく搭載しないというわけにもいかず、ラインアップのどこかにはこうしたシステムを備えた車種を揃える必要がある。そこで、軽自動車や小型車用としては、衝突回避・被害軽減ブレーキにほぼ機能を絞り、それも30km以下で作動するという機能的にも限定した形でシステムの価格を抑え、搭載車の車両価格が上がることを極力抑えているというわけだ。

こうした軽自動車系としては、軽自動車では初となるダイハツの「スマートアシスト」(ムーヴ:画像11)、同じく軽自動車用のスズキの「レーダーブレーキサポート」(ワゴンR:画像12)を、また小型車としてはホンダの「シティブレーキアクティブシステム」(フィット:画像13)を同乗走行デモを披露。

画像11(左):ダイハツのムーヴ。スマートアシスト付きグレードの税込み価格は113万円から132万円。 画像12(中):スズキのワゴンR。レーダーブレーキサポート装着車の税込み価格は「FX Limited」の2WDが129万1500円、4WDが140万9100円。 画像13(右):ホンダのフィットのシティブレーキアクティブシステムはメーカーオプションとなっており、6万円のプラスとなる。フィットの車両価格は税込み126万5000円から180万円まで

ダイハツのスマートアシストも、スズキのレーダーブレーキサポートも、時速30km以下で作動。スマートアシストには、前進と後退を間違えて壁などに衝突するような状況での発進を抑制する「誤発進抑制」、信号待ちで青信号になって前走車が発進したことに気がつかない時に教えてくれる「先行車発進お知らせ」の機能もある。

ホンダのシティブレーキアクティブシステムには衝突回避・被害軽減ブレーキと、誤発進抑制の2つの機能がある。衝突回避・被害軽減ブレーキは、フロントウインドウ中央上部の車内に取り付けられたレーザーレーダーを使用して前走車を検知し、時速約30km以下で作動する。今回のデモでは、衝突回避・被害軽減ブレーキと誤発進抑制の2つが披露された。軽自動車・小型車用のデモを代表して、フィットによるデモを披露しよう(動画7)。動画は、衝突回避・被害軽減ブレーキ、誤発進抑制の順で収録している。

動画
動画7。ホンダのシティブレーキアクティブシステムのデモ