消費電力測定(グラフ122~123)

最後にこちら。いつもの通り、3DMarkのFireStrike Extreme ProfileでDemoを実行し、この際の実効消費電力を測定してみた。グラフ122がその生の実効消費電力である。一応一番低いのがHD 7970で、ついでGTX 770とGTX 780が同程度、一番高いのがR9 290Xということになっている。

ここから、待機時の消費電力との差を算出したのがグラフ123で、もう少し差が明確になっているのが分かる。R9 290Xではピーク時に300Wを超える差があるが、これは単にGPUだけでなくCPUの消費電力の増分も加味されているからで、別にR9 290Xがピークで300Wを超える消費電力になるという意味ではない。おそらくGPUの増分は最大でも250~260W前後であろう。

さて、このグラフ123から、Demo実行中の消費電力差(10秒~190秒前後)の平均を取ったところ

  • HD 7970:167.3W
  • R9 290X:228.8W
  • GTX 770:210.1W
  • GTX 780:204.2W

といった数字になった。GTX 770よりもGTX 780の方が低いのは興味深いが、実際グラフ123を見るとGTX 770がほぼ200~220Wで一定の消費電力なのに対し、GTX 780はもっと振れ幅が大きく変動している。100秒以降は明らかにGTX 770よりも低めに推移しているので、これはそう不思議ではない。ちなみに待機時の消費電力は

  • HD 7970:91.4W
  • R9 290X:108.1W
  • GTX 770:84.9W
  • GTX 780:81.5W

となっている。

純粋に数字だけ見れば、R9 290Xはやや消費電力が多めということになる。実際、HD 7970と比較すると確実に増えている。ただ、GTX 780との比で考えると、12%ほどの消費電力増で15%(3DMark FireStrike Extreme ProfileのOverall Score比)~17%(同じくGraphics Score比)の性能改善が実現できている訳で、これは許容範囲というか、十分受け入れられる数字ではないかと思う。

HD 7970比でも37%ほどの消費電力増で60%以上(同)の性能改善が実現しているから、これは随分改善したというべきだろう。もっとドラスティックに、というにはもう28nmプロセスのままでは難しく、20nmプロセス世代まで待つ必要があるだろう。

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