iOS用「Microsoft Remote Desktop」
次にiOS用の「Microsoft Remote Desktop」を試してみた。基本的な操作はAndroid用と同じだが、ソフトウェアキーボードの内容が異なっていいるのは、各OSのソフトウェアキーボードを利用しているからだろう。さらにコネクションバーの内容も異なり、マシン名をタップするとユーティリティバーが現れ、マウスモードの切り替えやセッションの切断が行える。このような差異はあるものの、Android用およびiOS用の動作は基本的に等しい(図07~08)。
Android用とiOS用で細かい違いも
細かく確認していくと、Android用とiOS用で異なる点があることに気付かされる。例えば、Android用の設定画面には「Hardware keyboard mode」が用意され、Desktop / Nativeの切り替えが可能。具体的には、ハードウェアキーボードを備えたAndroidデバイス利用時に用いるもので、Nativeモードを選択した場合はエミュレーション処理がバイパスされるという。
また、「Graphics acceleration」には、Hardware rendering / Software renderingと、2つの選択肢が用意されている。こちらはAndroid 3.0以降で提供されるハードウェアアクセラレーションレンダリングを利用するか否かの設定項目で、Android 4.1以降では自動的に有効になるようだ。なお、iOS用は初期状態で使用するゲートウェイやRDS CAL(リモートデスクトップクライアントライセンス)の設定などにとどまり、クライアント特有の設定項目は用意されていなかった(図09~10)。
最後に接続に利用しているRDPバージョンを確認してみるため、PowerShellにモジュールを追加してビルドナンバーを調べてみたが、通常の4桁ではない見慣れぬ数字が帰ってきた。TechNetの説明を読むと、RDP 7.1に対応しつつも、RemoteFXコーデックなどいくつかの機能を実装していないため、このような説明になったのではないかと推測される。
なお、RDP 8.0では接続品質の自動検出を備えているため、外出先から会社のRDゲートウェイやVPN経由で自身のマシンに接続するといった使い方まで考えると、早期対応を望みたい。とはいえ、リモートセッションのオーディオ再生をタブレット上で行うなど、リモートデスクトップ接続が備える基本的な機能は備えていた(図11)。
公開直後(2013年10月22日時点)のAndroid用/iOS用Microsoft Remote Desktopクライアントは、各種メッセージが英語ながらも、これまでリモートデスクトップ接続を使ったことがあるユーザーであれば、苦にならないだろう。今回は有線LAN環境で試したが、パフォーマンス面でもWindows OS用クライアントと同様に、遅延が気になるような場面は皆無に近かった。多言語化や最新版RDPへの対応など望むべき箇所は多いものの、今後に期待しつつ、実用レベルには達している。リモートデスクトップ接続を必要とするユーザーにとって、クライアントのプラットフォームが増えるのはありがたく、便利なアプリとなるはずだ。
阿久津良和(Cactus)