東芝は9月30日、テレビ事業を含む映像事業に関する構造改革を実施することを発表した。収益性の改善や事業体質強化が目的。

同社は7月に、映像事業とPC事業を含むデジタルプロダクツ事業を再編し、「利益創出に向けた集中と選択の実施」と「軽量経営体質の再構築」を目指すことを発表。4K対応テレビなどの高付加価値商品の展開、新興国市場の開拓・デジタルサイネージなどのBtoB事業へのシフトを行い、売上の拡大を図る一方でコスト削減に努め、利益を確保する方針を打ち出していた。


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今回発表された構造改革案では、この軽量経営体質の再構築をさらに推進。注力市場の「集中と選択」、海外生産拠点のファブライト化(※1)とODM(※2)比率の引き上げ、国内市場向け商品開発の集中と強化を柱に掲げる。

※1 ファブライト:自社では開発・設計のみを行って製造を全面的に外部に委託する「ファブレス」に対して、製造の一部を外部に委託しつつ自社でも最低限の製造設備を保持すること。
※2 ODM(original design manufacturer):相手先ブランドによる製造。

集中と選択では、アジアや中近東、アフリカなど成長率の高い新興国市場に注力する一方で、不採算国・地域での販売は休止。在庫コストや物流コストを削減するという。

海外生産拠点のファブライト化とODM比率の引き上げでは、合弁工場を除く化以外の製造拠点3箇所を2013年度中に1箇所に集約し、2014年度までにグローバルでの生産委託比率を現状の40%から70%に引き上げる。これにより、固定費削減と生産効率向上を図るという。

国内市場向け商品開発の集中と強化では、大型の4K対応液晶テレビ、他社との差異化を図るための視聴・録画機能への注力、クラウドサービスによる家電製品間の連携強化、デジタルサイネージ等の業務用映像機器の商品開発を図る。

また、現在の組織体制を再編し、社内カンパニーであるデジタルプロダクツ&サービス社から映像事業を分割。東芝グループ内で白物家電などを扱っているグループ会社・東芝ホームアプライアンスに映像事業を承継させることで、映像事業と家電事業を一体で運営する「東芝コンシューマエレクトロニクス株式会社」(仮称)を発足させる計画となっている。この吸収分割については、会社法に基づく手続きを経て、2013年度下期での設立を目指す。