東芝・青梅事業所

東芝は7月26日、テレビ事業やPC事業を含むデジタルプロダクツ事業において「利益創出に向けた集中と選択の実施」と「軽量経営体質の再構築」を柱とする構造改革に取り組むと発表した。

東芝では2012年に、デジタルプロダクツ製品の設計開発機能を青梅事業所へ集約したほか、アフターサービス拠点の集約などの構造改革を実施した。だが、地上デジタル放送への完全移行による市場の需要減少、価格低下、円安などの要因により、テレビ事業においては2期連続で赤字を計上した。PC事業についても、スマートフォンやタブレット端末との競合によりPC需要が減少するとの展望が予想されることから、さらなる構造改革を実施することで、デジタルプロダクツ事業の2013年度下期黒字化を目指す。

今回発表した「利益創出に向けた集中と選択の実施」と「軽量経営体質の再構築」を柱に、新興国市場の開拓やBtoB事業へのシフト、高付加価値商品の展開を行うことで、売上・利益の拡大を目指しつつコスト削減を図るという。

具体的に「利益創出に向けた集中と選択の実施」では、テレビ事業に関しては人員資源のシフト等により新興国市場での売上比率を約4割(2012年度は約3割)まで伸ばすほか、4K対応テレビなどの高付加価値商品、デジタルサイネージ市場などのBtoB売上比率を2014年度に約1割まで伸ばすといった施策を行う。PC事業に関しても、新興国市場の売上比率を2013年度で約4割(2012年度は約3割)、BtoBを2015年度で約4割(2012年度は約2割)まで伸ばすほか、セキュリティやモバイル性を強化した企業向けモデルなどの付加価値の提供、さらにBtoC事業では「東芝ダイレクト」の活用の進展による販売チャネル拡大などの施策を実施する。

4Kテレビなどの高付加価値商品を積極的に展開する

「軽量経営体質の再構築」としては、テレビ事業に関しては2012年度で14あったプラットフォーム数、および115あった機種数を、2013年度にそれぞれ9、67へと削減し、開発・設計リソースを効率的に配分するほか、生産委託先の3分の1までの絞り込み、自社生産との棲み分け、オペレーションフローの改善による在庫・物流コスト等の削減などを実施する。PC事業に関しても、プラットフォーム数を20(2012年度)から15(2013年度)へと削減するとともに、オペレーションフローの改善により在庫コストの削減に努める。

そのほか、国内でテレビ事業・PC事業に従事する約20%に当たる約400名を社会インフラ事業などの注力分野へシフトするとともに、8月1日付で社内カンパニー「デジタルプロダクツ&サービス社」内の組織再編を行うとしている。組織再編については、2011年度に導入した地域別事業部体制をやめて、テレビ・映像事業を担う「ビジュアルソリューション事業部」、BtoC向けのPC・タブレット事業を担う「パーソナルソリューション事業部」、BtoB事業を担う「ビジネスソリューション事業部」の3事業部制とする。これにより、組織のスリム化、意志決定の迅速化、BtoB事業の専門組織化を図るという。

なお、発表された施策は本年において計画されている構造改革の一部で、今後も欧州経済の低迷などによる生産・販売体制の見直しを含め、さらなる構造改革を策定、実施していくという。