ポーラ化成工業は9月24日、マメ科の低木であるルイボス(学名:Aspalathus linearis)の発酵茶葉を、含水エタノールで抽出したエキスを8週間摂取することで、皮膚粘弾性、経表皮水分蒸散量が改善され、さらにその作用メカニズムとして毛細血管の機能改善が重要であることを明らかにしたと発表した。

同成果の詳細は、2013年8月29日から31日に開催された「第60回記念大会 日本食品科学工学会」にて発表された。

ルイボスは南アフリカに自生する落葉亜低木で、葉を醗酵させたものには、ポリフェノールが多く含まれており、抗酸化作用、抗アレルギー作用、抗菌作用などが確認されている。今回の研究では、一般的な水溶性成分だけでなく、脂溶性成分まで活用するために、醗酵茶葉を10倍量の30%アルコールにて2回還流抽出(85℃)したエキスを用いて試験を行ったという。

ルイボス

具体的には、20~50歳の健常女性18名を対象に、ルイボスエキスの肌状態と毛細血管機能への影響の検討を行ったという。被験者はルイボスエキス25mgを毎日摂取してもらい、肌状態の評価として、摂取前と摂取8週間後に皮膚粘弾性、経表皮水分蒸散量の測定、VAS法による肌改善の自覚評価を実施。その結果、摂取8週間後では、摂取前と比べて皮膚粘弾性、経表皮水分蒸散量ともに有意に改善し、自覚評価についても、ハリ感、乾燥、くすみ、うるおい、肌の明るさ、化粧のり、たるみの項目で有意な改善実感が認められたという。

ちなみに、この肌状態の機器測定は、油性および水性洗顔料でのダブル洗顔後、温度20±2℃ 湿度50±2%RHの環境下で馴化した後に行われたという。

また、毛細血管機能の評価として、摂取前と摂取8週間後に、左薬指尖の爪上皮の毛細血管形状を拡大画像装置にて画像化し、毛細血管が形成するアーチ形状の長さを、アーチの頂点を起点に手の甲方向に計測。その結果、摂取8週間後のアーチ形状の長さが、摂取前と比べて有意に伸長していることが確認されたという。

左から皮膚粘弾性の比較、経表皮水分蒸散量(TEWL)の比較、毛細血管の拡大画像(代表例)

さらに、血管内皮細胞同士の接着力評価として、実験装置のシャーレ上層に血管内皮細胞を培養し、ルイボスエキスを添加し、その後、シャーレの上層と下層に設置した電極で、電気抵抗値(TER値)を測定。血管内皮細胞の接着力が強い場合、シャーレの上層から下層に電流が通りにくくなりTER値が上昇するが、測定の結果、ルイボスエキス濃度に依存的なTER値の上昇が確認され、血管内皮細胞同士の接着力が強化されているることが判明したという。

左が血管内皮細胞試験装置の概要。右が経上皮電気抵抗値(TER)値の上昇

これらの結果から、ルイボスエキスは血管内皮細胞の接着力を高め、毛細血管の構造を安定化させることで、皮膚に十分な血液をめぐらせ、栄養を届けることを可能にし、真皮、表皮の細胞の機能性を高めたことが示唆される成果を得たと研究グループでは説明しており、ルイボスエキスの摂取により、皮膚粘弾性、経表皮水分蒸散量が改善され、ハリ感の向上、乾燥感やくすみの軽減など、肌状態の改善が実感できることが示されたとしている。

なお、同社では、同成果を用いたルイボスエキス配合美肌サプリメントを、ポーラ・オルビスグループのオルビスから2013年11月に発売する予定だとしている。