本選では予選2ブロックだった作業フィールドが4ブロックに拡大
続いて、予選と大きく異なる点。何よりもすぐわかるのが、フィールドが大きいことだ。東京予選の記事を見ていただいた方はわかるかと思うが、予選時は街2ブロック分のイメージだった(画像13)。本選では、先ほど写真を掲載済みだが、まずここが4ブロック分に増えている(実際の面積的には、1.5倍という感じ)。そしてそれ以上に目立つのが、観客席から見て奥側に「高台」といわれるエリアが設けられている点だ。ここは2ブロック分となっている。また、下のエリアと高台エリアは、左右に設けられた坂道でつながっている。高台エリアのダミヤンを搬送する時は、この坂道で落としてしまわないよう注意が必要だ(画像14)。
画像13(左):東京予選のフィールド。ゲートからフィールドまでの距離も短い。画像14:高台エリアのダミヤンを救出したあとは、坂道を降る際に落とさないように注意が必要。写真のからくり忍者はベッド(ベルトコンベア)の傾斜を変えられる仕組み |
ちなみに、このようにエリアが広くなっているということは、それだけダミヤンが分散して配置されているということを意味し、レスキューロボットには確実な移動力も求められるというわけである。
そのダミヤンは、冒頭で述べたように1チームにつき3体の救助を行う(3体全部の救出・搬送ができなくても失格といったことはないが、もちろんそれだけ得点が低くなる)。場所的には、下のエリアに2体がいて、まずそのどちらか1体を救出すると、高台エリアにいる残り1体の救出要請が出て、3体目を救助に行けるようになる形だ。
ダミヤンはそれぞれどのような状況下にあるのかというと、まず下のエリアの1体は、1本の柱ガレキの下(直接ダミー人形の上にガレキは載っかってはいない)に横たわっている。もう1体が、今回から導入された2階建ての家ガレキの2階で横たわっており、これは予選でも披露されているが、難易度が高い。最後の1体は、高台やはりエリアで柱ガレキが直接載っていない状態でその下で横たわっているという具合だ。
なおフィールドの内、オーカー色のエリアは私有地エリアで、グレーのエリアが一般道だ(画像15)。私有地エリアは救出要請が出ない限りは入ってはダメで(下のエリアの2体はスタート時から出ているので、その私有地には入れる)、またダミヤンがいない私有地エリアに侵入してしまってもイエローフラッグが与えられてしまう(画像16)。よって、3体目は救出要請が出る前に救助を開始してしまうと私有地への不法侵入となってしまうのである(すぐ横の道路上で待機している分には問題ない)。
それから、本選では目視によるレスキューロボットの操縦をしてはならず(予選はOK)、搭載したカメラからの映像とヘリテレカメラ(画像17)のみを頼りにしないとならない。実際、東京消防庁にはレスキューロボットとして「(2代目)ロボキュー」(画像18)や無人走行放水装備「デュアルファイター」の無人走行放水車「ドラゴン」(画像19)などが現行機種として配備されているが、それらはすべて遠隔操縦である。現実のレスキューロボットが採用している仕組みなので、遠隔操縦は当然というべき仕様だろう。
また、東京予選は参加チーム数が少なかったので、1チームずつの挑戦となったが、本選はチーム数が多いので、2チームが同時に競技を行った(画像20)。下のエリアでは、両チームが救出すべきダミヤンが2体とも、それぞれのチームのゲート側に近い私有地エリアにいるので、相手チームと行動範囲が被ることはない(救出すべきダミヤンは決められており、相手チームのダミヤンに触るのはもちろん反則)。
ただし、高台エリアは異なる。そこでは、自分たちの救出すべきダミヤンが、相手チームのゲート寄りの私有地エリアにいるので、レスキューロボットの移動ルートが被る可能性があり、場合によってはしっかりとコミュニケーションを取り、譲ったりしないとならない(衝突は妨害行為となる)。そのため、チーム間通信でコミュニケーションをきちんと取る必要も出てくるのだ。
また、あくまでも同じ「人命救助」という一刻を争うミッションをこなしているので、チーム間で妨害し合うようなことは絶対にしてはならない。よって、道路上のガレキをどかすのはもちろんいいのだが、相手の移動ルート上にわざと置いたりするのはよくない。ちゃんとガレキを捨ててもいい公有地エリア(下エリアと高台エリアの段差の所にある)や、両チームがともに通ることがない道路の端などに押し込んでおくのが正しいレスキュー活動ということになる。相手チームを助けるぐらいの心配りもできていないといけないのが、レスコン本選なのだ。