2013年8月1日、東京工業大学とNVIDIAの共同で、高校生向けプログラミング教室「CUDAサマーキャンプ」を開催した。当日は全国か公募で集まった76名の学生が集い、NVIDIAのGPUコンピューティング開発環境のCUDAを使って、CUDAとGPU並列コンピューティングの基礎を学んだ。

「CUDAサマーキャンプ」は、学生の夏休みを利用したプログラミング入門講座。プログラミングに興味を持つ現役の高校生や高等専門学校生を対象に、NVIDIAのGPUを活用したC言語ベースの統合開発環境「CUDA」の基本を学ぶ場を提供し、新しい並列プログラミングの可能性を体感してもらうことで、世界で通用する人材を産学連携して育成していくことを目的としている。

今年で5回目の開催となる今回も関東近郊の地域を中心として各地から参加者が集まった。最終的な参加人数は76名と例年の倍となる高校生・高専生が講義を受けた。

スパコン分野での最高栄誉と言われるゴードンベル賞・特別賞(本賞)を受賞した東京工業大学 学術国際情報センター 青木尊之教授と、ACMゴードンベル賞を受けた東京工業大学 学術国際情報センター 助教の下川辺隆史博士という最先端で研究に携わっている2人を講師に、午前と午後をフルに使い、ぎっしりと組まれたカリキュラムでCUDAプログラミングの基礎が学べる。

東京工業大学 学術国際情報センター 青木尊之教授

東京工業大学 学術国際情報センター 助教の下川辺隆史博士

講義の資料など、一番上に置いてあるのは参加特典である青木尊之教授、額田彰氏の著書『初めてのCUDAプログラミング』

また、東京工業大学が同大学が運用するスーパーコンピューター「TSUBAME」(Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment)の見学もできる貴重な機会となっている。

NVIDIAのGPUコンピューティングソフトウェアゼネラルマネージャー イアン・バック氏

講義の開始に先立って、GPUコンピューティングのイベント「GTC Japan 2013」にも登場したCUDAの開発者である、NVIDIAのGPUコンピューティングソフトウェアゼネラルマネージャー イアン・バック氏があいさつを行った。

バック氏は「たくさんの方が並列コンピューティングを学びにきてくれて非常にワクワクしている。私自身も高校生のときにプログラミングを始めて、やがてコンピュータグラフィックスに興味を持ち、それがCUDAの開発につながった」と話す。

また、「GPUを使った並列コンピューティングでは、これまでさまざまな発見があったが、まだまだソートや検索といった分野における効率的な方法について研究すべきことがたくさんある。ぜひみなさんがこれらの研究に関わってくれるようになることを期待している」と参加者を激励した。

午前と午後をフルに使った講義

CUDAサマーキャンプは午前の部と午後の部に分かれており、午前の部ではGPUの歴史、GPUスーパーコンピュータ、コンピュータ・シミュレーションの最先端研究などを紹介のほか、実習に向けてTSUBAME2.0へのログインするための環境設定、CUDAプログラミングの基礎を解説する。

CPUとGPUの違いと行った基礎の部分から講義はスタート

CUDAプログラミングの基礎では、並列処理の概念やサンプルコードを確認しながら、基本となる関数やスレッド管理などの解説と、簡単な演習を行った。

CUDAサマーキャンプでは応募に当たって、特別な条件はないが、さすがにこういったイベントに参加するだけあって、参加者の中には手慣れた手つきで環境設定やプログラミングをする学生も多く見られた。

テキストを熱心に見る参加者

サンプルコードを参考にしながらCUDAプログラムの基礎を解説する

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