スマートフォンの性能が上がり、誰でもどこでも気楽に撮影することができるようになりました。コンパクトなデジタルカメラがポケット内に入っているようなものだし、SNSへアップロードするにも便利です。

遊びに行って、楽しみながら撮影して、SNSに載せて……。あなたも気付き始めているのでは? 見せられるのは集合写真くらいで、記憶の風景と画像が天と地ほど似ていないことを。撮りたいもののアピールが微妙に足りないから、画像も微妙になる。そんなあなたにプロカメラマンの浅沼がスマホでの写真撮影のコツをお教えします。今回は「海水浴」がテーマです。なお、以下の写真ではAndroidスマートフォンの「AQUOS PHONE si SH-01E」を使っています。

それでは、以下のありがちな写真の例と作例とを比べていきましょう。各写真にコメントをつけておりますので、参考にしてください。

ありがちな写真1

作例1

  • ありがちな写真1

カメラアプリを起動して、急いで撮るとこうなります。カメラが自動で明るさを調整しているので、明るくなり過ぎないように暗く撮影されました。海では、少し明るめに調整しておきましょう。

  • 作例1

砂浜やスキー場など明るいと認識されやすい場所では、暗い写真になりやすいので、少しだけスマホ上でプラスのほうに露出補正をすると、目で見た風景と近い写真が撮れるようになります。

ありがちな写真2

ありがちな写真3

  • ありがちな写真2

SNSに「海~!!」ってコメントとともに載っていそうな画像です。砂浜を写したいのか、海を写したいのかどちらも中途半端で、何も伝わりません。コメント欄の、当たり障りのない文章が目に浮かびます。

  • ありがちな写真3

これも同じく。Facebookに載せても、付き合いか下心ある「いいね」しか押されません。水平線が真ん中に来て、この画像も中途半端です。

作例2

作例3

  • 作例2

あえて海を撮らず、砂浜の監視台をメインにしてみました。空を多く入れるとともに、奥に広がりを見せます。

  • 作例3

海の家の看板を入れてみても、海水浴の感じは出てきます。見せ方は同じですが、今度は砂浜を多く画面に入れてみました。空と地面のどちらかが、7割になっていると安定した見え方になります。

作例4

作例5

  • 作例4

海水浴と考えて、メインの海以外にも象徴的なものは出てきます。周りを見渡してみましょう。海関連の物を一緒に入れてあげるだけで、説明無用の画像になります。

  • 作例5

海水浴での思い出は、海だけではありません。砂浜だけを撮影しても良いです。デジタルの恩恵を享受し、集合写真や仲間以外にも、どんどん撮影しておきます。まとめて見返した時、良い箸休め的な画像になります。

作例6

  • 作例6

海岸へ向かう道中にも、箸休め画像が撮影できます。この場合は、トンネルの圧迫感や抜けた先の希望を持たせたくて、やや暗めにしました。トンネルは今後の展開を期待させる良い道具になります。

ありがちな写真4

  • ありがちな写真4

浜昼顔です。撮影場所の白里海岸では有名です。「有名な物は撮影して」おくという姿勢は大切です。ただし、ただ撮るだけではイマイチです。

作例7

作例8

  • 作例7

マクロ撮影機能(大抵の場合は花のマーク)を活用し、撮影してみました。花の位置はどちらかに寄せ、日の丸のような真ん中だけに被写体がある撮影は避けます。撮影角度も低くし、花を真正面から撮影しないようにも気を使います。

  • 作例8

同じように低い位置からの撮影です。奥に広がりを持たせると、どんな場所なのかが伝わります。

海水浴編のまとめ

ほんの少し撮り方を変えるだけで、画像から読み取れる情報量が増えてきます。情報量が増えるということは、伝わりやすい画像だということです。色々と書きましたが、今回のポイントは下記の通りです。

  • 空と地面はどちらかが7割
  • メインを左右どちらかに寄せる
  • メインの奥に広がりを持たせる

以上です。そして、撮影して気が付いたことは、スマートフォンの画面の明るさを自動調節にしていると屋外では撮影しづらいです。自分の持っているスマートフォンやカメラアプリの機能を、もう一度確認してみましょう。また、まとめて見せるときに箸休め画像があることによって、他の画像が引き立つので、今度から試してみて下さい。

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