東京・上野公園にある国立科学博物館(科博)は7月5日、2013年7月6日より10月6日にかけて同館にて開催する特別展「深海 -挑戦の歩みと驚異の生きものたち-」の内覧会を実施、展示物などの公開を行った。

特別展「深海 -挑戦の歩みと驚異の生きものたち-」は国立科学博物館にて7月6日より開催される

同展は国立科学博物館のほか、JAMSTEC、読売新聞社、NHK、NHKプロモーションの5者が主催者として名を連ねており、文部科学省も後援として参加しているほか、監修者としてNHKと協力して2012年7月にダイオウイカの撮影に成功し、その模様が2013年1月のNHKスペシャルとして放送された国立科学博物館の窪寺恒巳 標本資料センター長と海洋研究開発機構(JAMSTEC)の藤倉克則 上席研究員が参画している。

展示会の構成は、小笠原沖で撮影されたマッコウクジラが深海に潜っていく映像が出迎えてくれる「プロローグ」から始まり、水深200mを超す深海の世界とはどういったものかを、実際に見て、触れて、感じることができる「深海の世界」、日本が世界に誇る有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型が出迎えてくれ、日本の深海探査技術を知ることができる「深海に挑む」と続く。中盤は、日本近海の深海に生息し、世界最大の現生節足動物と称される「タカアシガニ」を筆頭にした深海生物の標本たちが出迎えてくれる「深海生物図鑑」、そうした深海生物たちがどうやって生きているのか、またその不思議な生態を見ることができる「深海に生きる」、そして今回の展示会最大の目玉であろう体長5mの巨大イカ「ダイオウイカ」を生で見ることができる「深海への適応」と続き、後半は竹中直人氏がナレーターを務める深海生物やダイオウイカなどの映像を深海に居るかのように楽しめる「深海シアター」、現在、我々の食卓では実はさまざまな深海生物を食していることなどが分かる「深海の開発と未来」という7つの主要ゾーンで構築されている。

「しんかい6500」の等身大模型。船員が入る室内も見ることができる

決して煽りで世界最大とうたっている訳ではない「タカアシガニ」の巨体や、その体内からバイオエタノールの高効率生成を実現できる酵素が発見されて昨年話題になった「カイコウオオソコエビ」、鳥羽水族館で飼育され、超長期の絶食が話題を呼んだ「ダイオウグソクムシ」なども見ることができる

今回の展示会で最大の目玉となるであろう「ダイオウイカ」の標本(右。左は模型)。この標本の全長は5mだが、観測されているダイオウイカの中には10mを超すものも多数いる。ちなみに、この標本のすぐ近くに、イカが大好物のマッコウクジラの頭部の実物大模型が、深海に潜る様子で再現されている

会場の至るところに、こうしたかわいらしい深海生物のイラストを見ることができる

また、今回の展示会では「潜水艇で深海を巡る旅をイメージしたツアー」がコンセプトとなっている音声ガイド「深海旅行者プレゼンツ 神秘の深海ツアー」を500円で借りることが可能だ。ツアーガイドを声優の坂本真綾さんが担当しており、各ポイントポイントごとに、バラエティ豊かな深海生物を紹介してくれたり、最新の研究成果などを解説してくれたりする。また、ボーナストラックとして、窪寺先生が直々にダイオウイカの撮影秘話などを話してくれたり、ゲストのダイオウイカ君から、深海やイカにまつわるクイズを出題してくれたりするので、来場した際には、ぜひ聴きながら会場を巡ってみてはいかがだろうか。

音声ガイドの端末のモニタも色々と変化する。右の3択が何を指しているのかは、実際に会場にて聞いて確認してもらいたい

なお、科学博物館の特別展は、最後のゾーンの後にグッズ販売コーナーが設置されるのが常だが、今回、同ショップはまさにイカ尽くしともいえる深海グッズやお菓子、果てはプリクラまでもが用意されている。グッズなどはかなりかわいいものなどが多数あり、あれもこれも欲しい、と買いあさると、気が付くと合計金額が数万円にも及ぶという危険性があるので、注意した方が良いだろう。

展示会の最後に用意された物販スペース。イカ尽くしと言っても過言ではないレベルのイカの量である。ちなみに、左上の実寸大ダイオウイカ(全長6m)のお値段は20万円である

開催期間は7月6日から10月6日までだが、7月8日、16日、9月2日、9日、17日、24日、30日は休館日となるので注意が必要だ。また、8月10日~18日の期間は夏休み特別会館延長期間として、閉館時間が18時まで(通常は17時。金曜日は20時。入館は閉館時間の30分前までとなっている)延長される。入場料金は一般・大学生が1500円、小・中・高校生は600円(前売りはそれぞれ1300円、500円)。夏休み直前、学校の自由研究の課題選定がまだという子どもたち、また深海の奇妙な生物などに興味がある人は、ぜひ、一度足を運んでみると良いだろう。