パナソニックは6月13日、既設施設を活用した「スマートマンション」実証実験の開始を発表した。実験は、大阪府交野市と埼玉県さいたま市にある同社の社宅(約100世帯が入居)を利用して行われる。実験期間は約2年間。
実験の内容は、制御機器「AiSEG(アイセグ)」やエネルギー計測ユニット、タブレット端末など、同社の「スマートHEMS(Home Energy Management System)」機器を導入し、データを収集するというものだ。東日本と西日本の2箇所で実験を行うことで、地域による差異を含めた検証が行われる。
また、デマンドレスポンスを実現する有効な手段を探すためのテストも行われる。デマンドレスポンスとは、消費電力量の調整により需給バランスを図ること。実験が行われるのは、社宅とはいえ一般家庭だ。一律何%の電力消費のカットといったことは行いにくい。
実験では、タブレット端末での電力消費の「見える化」によって節電意識を高め、さらには先日運用が解禁されたエアコンの遠隔操作によって、電力使用が多い世帯のエアコンの温度設定を変更するといったことも行われるという。
スマートハウスやスマートマンションは、新築の物件で導入されることが多い。既設の、しかも集合住宅での実験は、同社としては初の試みだ。新築の住宅に比べて既設の住宅の方が件数は多い。建築から時間のたったマンションなどの集合住宅では、大規模な改修工事が行われるケースが多い。そういった際にスマートマンションのシステムを導入することは、建物の価値を高めることにもつながる。
2年間にわたる実験によって得られたデータは、今後、既設マンションのスマートマンション化の際などに役立てられる予定だ。