タブレットとしてもノートPCとしても利用可能

Surface Proは10.6型ClearType HDディスプレイを備えているが、解像度はフルHDの1,920×1,080ピクセルなのでドット密度が高く(文字やアイコンの表示が小さい)、通常のデスクトップ環境は使いづらいものとなってしまう。そのため、ディスプレイの設定「項目のサイズ」が、あらかじめ150%に設定されている。これはこれで見やすいのだが、気になる点が一つ。

タイトルバーのサイズが8ポイント(通常の環境では11ポイント)に変更されており、全体的なバランスに違和感を覚えてしまう。このあたりのスケーリングはSurface Proうんぬんではなく、Windows 8側の問題である(なお、手動でサイズを再設定すると今度は12ポイントに変更された)。Microsoftは主軸をモダンUI(ユーザーインタフェース)に置くようになり、デスクトップの改良が後回しになったのか、今さらながら残念に感じてしまう。

ディスプレイが高解像度のため、GUIのスケーリングは最初から150%に変更されている

Surface Proが到着してから数時間ほど触れ、今後必要になると思われるアプリケーションをいくつかインストールしてみた。ストレージがSSDのため、あっという間に終わってしまい、特筆すべき様なトラブルは一切生じなかった。そして電子ペンを検証しようとWindowsストアアプリ版「OneNote」を使ってみたが、Surface Proと相性は抜群である。

デスクトップアプリ版OneNoteはいくらタッチ操作に対応したと言っても、やはりデスクトップライクな使い方を求められるが、Windowsストアアプリ版は放射状メニューでペン入力を切り替えながら、メモを作成するといった作業も実際に行える。長年キーボードを使い続けてきた筆者の場合、手書きよりもキータイプの方が速いため、実際に活用できるか個人的には疑問ながらも、多くのユーザーは電子ペンを有効に使えると思う。

Windowsストアアプリ版「OneNote」で電子ペンを試用中。マウスやタッチ操作では使いにくかった放射状メニューが便利だ

Surface Proに興味を持つ上では、「Ultrabookと同じように使えるか」という点も気になるのではないだろうか。1つの要素にバッテリーの駆動時間があり、Ultrabookはバッテリー駆動時間も5時間以上の製品が大半だ。Surface Proの約4時間(日本マイクロソフトによる体験値)では、モバイルデバイスとしては心細い。

一方でIntel Core i5-3317U(1.7GHz)を搭載し、SSDをメインストレージとしている点を踏まえると、Windows 8タブレットとしてだけではなく、据え置きノートPCとしての利用も想定できるのではないだろうか。前述したハードウェアスペックに64ビット版Windows 8 Proと、Microsoft Office Home & Business 2013が付属して、希望価格が99,800円(128GBモデル)、119,800円(256GBモデル)というのは割安に感じる。

そもそもMicrosoftは、Surface Proを「タブレットとしても利用できるコンピューター」としてリリースした。ミドルレンジクラスのパワーを持つハードウェアにOfficeスイートを標準で用意したSurface Proは、これまでの資産を活かしつつ自由に使えるデバイスという印象を強く持った。ユーザーの目的によってタブレットPCとしても、ノートPCとしても使える(キーボードはオプションだが)。ライトユーザーであればメインマシンとしても問題ない。筆者は「タッチ機能を備えたWindows 8マシン」として購入したが、Surface Proはユーザー自身の使用スタイルや目的に応えてくれるデバイスとなりそうだ。

阿久津良和(Cactus)