ポッカサッポロフード&ビバレッジは6月5日、梅果実成分の継続摂取により、特別な運動をしなくても、有酸素運動を継続して鍛えた筋肉へと変化することを発見したと発表した。

同成果は、同社と近畿大学生物理工学部の矢野史子教授、白木琢磨准教授らによるもの。

研究グループは2012年に、梅果実成分の摂取により、持久力が向上することを報告していたが、今回の研究では、そのメカニズムの解明に向けた取り組みが行われた。

具体的には、マウスを「通常飼料」、「梅果実成分を4%含む飼料を自由摂取」の2つのグループに分け、3週間後、後肢筋肉の腓腹筋とヒラメ筋を採取し、遅筋量の指標となるSDH染色を行い、筋肉の変化を観察した。SDH染色はミトコンドリアでのエネルギー生産に関わる酵素の活性を利用して染色する方法で、遅筋は速筋より濃い青色に染まることが知られているが、梅果実成分摂取グループでは、通常飼料摂取グループと比較して、本来速筋の多い腓腹筋がSDH染色で濃く染色され、梅果実成分の摂取により、特別な運動をしなくても、腓腹筋中の遅筋繊維が増加し、ミトコンドリアでのエネルギー生産に関わる酵素の活性が高いことが示された。

梅果実成分による筋肉の遅筋化( SDH染色)

また、梅果実成分の摂取による筋肉の変化を、継続して有酸素運動した場合と比較する実験として、マウスを「通常飼料(運動なし)」、「通常飼料+有酸素運動負荷(1週間に3回、流水プールでの20分間の遊泳運動)」、「梅果実成分を4%含む飼料(運動なし)」の3つのグループに分け、3週間の飼育の後、骨格筋より、筋肉の質に関わる遺伝子(速筋化に関わる遺伝子「Pgc1-α4」、遅筋化に関わる遺伝子「Pgc1-β」)を採取し、発現量を測定した。

その結果、梅果実成分を摂取したグループでは、特別な運動をしなくても、有酸素運動を継続した場合と同様な遺伝子の変化が起こり、遅筋化に関わるPgc1-βが通常飼料を摂取したグループに比べて増加することが確認されたという。

運動および梅果実成分による筋肉形態に関連する遺伝子(mRNA)の変化

なお、同社では、今回の成果について、梅果実成分の摂取により、瞬発力に関わる筋肉(速筋)が持久力に関わる筋肉(遅筋)へ変化したこと、ならびに、遅筋に多く含まれる、エネルギーを産生するミトコンドリアの働きが持久力が向上させるメカニズムであると考えられるとしており、今後は、梅果実中の効果成分の特定、および筋肉の質が変化するメカニズムの解明を進めるほか、実際に研究成果を梅関連商品へと転用していく計画としている。