通信各社から販売されるスマートフォンでは、高速通信のLTEへの対応が基本となっている。LTEによってWebブラウジングや動画視聴を快適に行えるのが魅力だが、注意したいのが通話料だ。LTE対応のスマートフォンに機種変更した場合、通話プランの基本料金は安くなるが、他社携帯や固定電話などへの通話料が高くなる可能性があり、使い方によっては月間の通話料金が高額になってしまうことがある。そんなときに活用したいのが、ジーエーピーが提供する「G-Call」というサービスだ。本稿では、G-Callの概要と使い方について紹介していきたい。

スマートフォンなどの通話料を節約できるサービス「G-Call」。G-CallのWebページから申し込みが可能

LTEスマートフォンの通話プランの注意点

携帯電話や3G対応のスマートフォンからLTE対応のスマートフォンに機種変更したことで、毎月の利用料金が高くなったと感じている人も多いかもしれない。これには、LTE対応のパケット定額サービスが従来よりも割高だという要因もあるのだが、音声通話をよく使う人は通話料にも着目したほうがよい。実は、ドコモ、KDDI、ソフトバンクという通信各社のLTEスマートフォンでは、選べる通話プランが限られていたり、キャンペーンの適用を受けるためには特定の通話プランしか選べないという状況にあるのだ。

各社のLTEスマートフォンの通話プランで標準的となっているのが、基本料金が低額であるかわりに無料通話分が付かないというもの。ソフトバンクの「ホワイトプラン」が、もっともよく知られているだろう。ホワイトプランは、毎月の基本料金は980円で、1時から21時までソフトバンク携帯への通話は無料。その他の時間帯や他社携帯・固定電話への通話料は21円/30秒というプランになっている。KDDIの「LTEプラン」もホワイトプランとよく似た通話プランであり、「誰でも割」適用時の基本料金が980円で、1時から21時までのau携帯への通話は無料。その他の時間帯や他社携帯・固定電話への通話料は21円/30秒だ。

ドコモ KDDI ソフトバンク
プラン名 タイプXi にねん LTEプラン(誰でも割 適用時) ホワイトプラン
月額基本料 780円
980円
無料通話分
なし
通話料 21円/30秒 21円/30秒(1時~21時までau同士無料) 21円/30秒(1時~21時までソフトバンク同士無料)
■ 通信各社のLTEスマートフォンで標準的な通話プラン

ドコモのLTEスマートフォン向け通話プランの「タイプXi にねん」は、他の2社のプランとは少し異なり、毎月の基本料金は780円と割安だ。ただし、ドコモ携帯への通話を含め、すべての通話料が21円/30秒となっている。

これらの通話プランで着目すべき点は、無料通話分がなく、他社携帯などへの通話料が21円/30秒と従来よりも割高であることだ。あまり通話しない人や、よく電話をかける相手が同じ通信キャリアである場合は、基本料金も安くお得なプランだが、他社携帯や固定電話に通話発信する人にとっては、毎月の利用料金の合計が高額になってしまう可能性がある。

LTEスマートフォンに機種変更した際に、利用料金が高めになる通話プランしか選べないというのは、ユーザーにとっては残念な限りだ。そこで検討したいのが「G-Call」である。

「G-Call」って、どんなサービス?

G-Callは、ジーエーピーが提供する携帯・固定電話向けの通話サービス。通話発信する際に、相手の電話番号の前に4桁の番号を付けて電話をかけることで通話料を格安に抑えられるというものだ。たとえば、G-Callを利用して携帯電話から携帯電話にかけた場合、通話料は1分計算で30円/分となる。また、携帯電話から固定電話への通話では、1分計算で20円/分だ。

これだけでも十分割安といえるが、さらに現在実施中のキャンペーンにより、いまG-Callに登録すると、携帯宛・固定宛の通話がともに10円/30秒の通話料で利用可能だ。キャンペーンの通話料は、登録すれば今後もずっと適用されるものとなっており、また既にG-Callに登録している人でも、再度登録することで10円/30秒の通話料が適用されるようになる。

G-Callには、月額の基本料金などがないため、10円/30秒の通話料を使った分だけ支払えばよい。たとえば、ソフトバンクにはWホワイトというオプションサービスが用意されており、ホワイトプランにおける通話料を半額の10.5円/30秒にすることが可能だが、毎月定額980円を追加で支払う必要がある。WホワイトよりもG-Callが断然にお得なのがわかるだろう。

また、G-Callでは海外への通話料も割安になっている。たとえば携帯電話からアメリカに通話発信する場合、キャリアによっても通話料は異なるが、通常44円/分~78円/分のところ、G-Callを利用すれば29円/分となる。また、キャリアが提供する国際電話サービスでは通話料が20秒~30秒計算であるのに対し、G-Callでは6秒計算となっているため、短い会話のときでも通話料を無駄に多く支払ってしまう心配がない。

G-Callを実際に使ってみた

G-Callを使う上で唯一手間となるのが、通話発信する際に4桁の番号を付けることだ。だが、スマートフォン利用者であれば専用のアプリを利用することで4桁の番号を自動的に付加でき、簡単にG-Callを使って電話をかけることが可能だ。G-CallアプリはiPhone版、Android版が用意されていて、App StoreまたはGoogle Playから無料でダウンロードが可能。それでは、G-Callの申し込みからスマートフォンアプリの利用までの手順を紹介しよう。

まず、G-Callの申し込みは、G-CallのWebページにおいて、ページ最下部の[お申込み]をクリックする。次のページで利用規約を確認し、新規登録の場合は[マイG-Callをお持ちでない方はこちら]をクリック。続いて表示されるページでは、名前や住所、電話番号などの個人情報、クレジットカードの情報に加えて、G-Callを利用したい携帯電話や固定電話などの番号を複数入力しよう。また、スマートフォン向けのG-Callアプリを利用するには、ログインIDとパスワードの設定も必要となる。以上の入力を終えて[次へ]をクリックし、内容を確認して送信すればG-Callの申し込みが可能だ。

G-CallのWebページにおいて、ページ最下部の[お申込み]をクリック

利用規約を確認して、[マイG-Callをお持ちでない方はこちら]をクリック

名前や住所、電話番号、クレジットカードの情報に加えて、G-Callを利用したい携帯電話や固定電話の番号を入力

スマートフォン向けのG-Callアプリを利用するには、ログインIDとパスワードの設定が必要

G-Callの申し込み後、数日経過すると登録完了通知メールが届く。次に、App StoreまたはGoogle PlayからG-Callアプリをダウンロード。初回起動時には、登録時に設定したログインIDとパスワードを入力してログインする。以上の流れでG-Callアプリを利用可能になる。

G-Callアプリでは、端末のアドレス帳を読み込んで、登録されている電話番号に通話発信することが可能。また、発信時には、G-Callで電話をかけるか、スマートフォンで通常発信するかを選択可能だ。1時から21時までの同一キャリア内の通話であれば、G-Callを使わずにホワイトプランなどの無料通話を使ったほうがお得になる。電話をかける相手によって、G-Callと通話発信を使い分けることで、より節約を心がけられるだろう。

G-Callのスマートフォンアプリ。端末の電話帳を読み込んで、登録されている連絡先に通話発信できる

G-Callによる発信と通常発信を選択できる

また、最近では「050 plus」などのIP電話アプリも、通話料を節約する方法として人気となっているが、G-CallアプリはIP電話アプリとは異なる。IP電話アプリではパケット通信を使って通話するのに対し、G-Callでは携帯電話回線を使った通話となる。そのため、IP電話アプリよりも遅延が少なく、通話品質も安定している。また、IP電話アプリの場合は"050"から始まる番号からの発信となるが、G-Callでは自分の電話番号を使って発信できるのも特長だ。

さらに、G-Callは仕事で自分の端末を使うというBYOD(Bring Your Own Device)にも最適だ。プライベートの通話はスマートフォンの通常発信を使い、仕事の通話にはG-Callを使うようにすれば、仕事で使った通話料を簡単に計算することができ、明細を印刷することも可能。また、法人向けの管理ソフトなども用意されている。面倒になりがちな通話料の精算もG-Callを使えば効率化できるだろう。

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スマートフォンの通話料を節約する方法としては、IP電話アプリの利用も考えられるが、携帯電話宛の発信で相手から折り返しを受ける場合には、自分の電話番号を使って電話をかけたい。そんなときにはG-Callが便利だ。また、パケット通信ではなく携帯電話回線を使うため、品質も安定しており、外出先でよく電話をかける人に最適だ。BYODにも適しており、個人や会社でさまざまな使い方が考えられる。