Windows 8に対応した最新「CD革命/Virtual」

「CD革命/Virtual Ver.13 Windows 8対応」

「CD(コンパクトディスク)」という光学メディアがコンピューターで使われるようになった1980年代末だが、640メガバイトという当時としては広大な容量は、主に辞書や地図といった紙情報をデータ化したソフトウェアに利用されていた。多くのソフトウェアは、内蔵HDD(ハードディスクドライブ)に展開できるように設計されていたものの、HDD容量の限界も相まって、光学メディアをそのまま持ち歩くシーンも少なくなかった。

また、光学ドライブを内蔵していないノートPCなどのモバイル型コンピューターは、PCMCIAなどで接続する光学ドライブを一緒に持ち歩かなければならず、その負担が大きかったのは、当時を知るユーザーなら容易に思い出せるだろう。このような事態を大きく変えたのが、"光学メディア仮想化ソフト"である。

コンピューター上に仮想の光学ドライブを組み込み、CD-ROMの内容をファイル化することで、光学ドライブおよび光学メディアの運搬から解放されたのだ。さらに、ノートPCのバッテリ消費量も軽減されるされるため、ユーザーはこぞって光学メディアを仮想化していたように記憶している。また、デスクトップ型コンピューターでも、メディアの入れ替えから解放されるなど、数多くの利点を享受できた。その当時に登場したのが、「CD革命/Virtual」シリーズである。

独自のイメージファイル形式「FCD」を採用し、圧縮機能を備えることで、HDD空き容量のひっ迫を避けるなど、光学メディア仮想化ソフトとしては先駆けに数えられるソフトウェアだ。1997年7月にリリースしたファーストバージョンから、2011年7月リリースのVer.12まで数えると、アーク情報システムの調査によれば累計出荷本数は70万本。この種のソフトウェアとしては、多くのユーザーに愛されてきたことがわかる。

確かに現在は、ISOが定義したイメージファイル形式が主流となり、Windows 8も標準機能として、ISO形式ファイルのマウント/アンマウントをサポートしている。そのため「CD革命/Virtual」シリーズのような光学メディア仮想化ソフトの出番はないと思われる方が大勢だろう。だが、過去の資産を活かしつつ、光学メディアの運搬を避けたいユーザーには、いまだ根強い人気を持つのは事実だ。その声に応えて、既報の通り今回、Windows 8に対応した「CD革命/Virtual Ver.13 Windows 8対応」がリリースされる。

従来の構築フォーマットである「FCD」や「mds+mdf」に加え、ISO形式をサポート。「CD革命/Virtual」シリーズがインストールされていない環境でも、ISO形式で取り込むことにより、イメージファイルの利用が可能になった。また、以前から「光ディスクドライブ共有機能」により、光学ドライブを備えていないUltrabookのようなコンピューターでも仮想光学ドライブを共有可能だが、今回はライティング機能を新たに備えている。イメージファイルを移動せずに、そのまま書き込めるのは実にスマートだ。

なお、今回はProfessional/Standard版といった機能差によるラインナップは用意されておらず、通常のパッケージ版やダウンロード版という分類でリリースされる。機能的には従来のStandard版を廃して、Professional版のコンセプトを踏襲した製品だという。以前のバージョンを所有しているユーザーには、アップグレード版という選択肢も用意されており、Ver.1からVer.12までのソフトウェアがバージョンアップ対象。状況に応じて選択するとよい。それでは、一足お先に「CD革命/Virtual Ver.13 Windows 8対応」の詳細な変更点を確認してみよう。

ISO形式ファイルの作成に対応

そもそも「CD革命/Virtual Ver.13 Windows 8対応」はCDやDVD、BD(Blu-ray)ディスクをイメージファイル化し、光学メディアや光学ドライブを必要とせず、仮想ドライブ上でイメージファイルをマウントするソフトウェアである。そのため、イメージファイル化した光学メディアの一括管理やアクセススピードの向上、光学メディア/ドライブの運搬から解放されるなど、そのメリットは膨大だ。また、仮想ドライブのライティング機能により、元の状態でCD/DVD/BDにと書き出すこともできる(ただし、CSSやAACSによるプロテクトが施されているDVDビデオやBDビデオの仮想化、ライティングは不可能)。

これらのイメージファイル形式は多岐にわたるが、「CD革命/Virtual Ver.13 Windows 8対応」がサポートするのは、従来の「FCD(CD革命/Virtualイメージ形式)」や「MDS+MDF(AlcoholシリーズやDaemon Toolsなどで用いられるイメージファイル形式)」に加え、新たにISO形式をサポートした。そもそも同型式は国際標準化機構が定義した光学ディスクのディスクイメージであり、CD-ROMのISO 9660ファイルシステムだけでなく、DVD-ROMなどで採用されたUDFファイルシステムもイメージファイルにすることが可能だ(図01~02)。

図01 ISO形式の出力に対応し、「CD革命/Virtual」がインストールされていないWindows 8マシンでもマウント可能なイメージファイルを作成できる

図02 音楽CDの取り込みなど、一部のメディアはISO形式のイメージファイルを作成できない

この他にも「Disc Juggler」というCD/DVDライティングソフトが使用するイメージファイル形式の「CDI」や、「Clone CD」のイメージファイル形式「CCD」、「Nero」のイメージファイル形式「NRG」をサポート(DVD形式は未対応)。また、古くから使われていた「CUE+BIN」「CUE+WAV」も引き続きサポートされている。

改めて考えれば「ISO形式のサポート」は重要ではないように思えるだろう。しかし、Windows 8がサポートしているのは「ISO形式ファイルのマウント/アンマウント」であり、ISO形式ファイルの作成は未サポート。つまり、ISO形式ファイルを単独で作り出すことはできないのである。「CD革命/Virtual Ver.13 Windows 8対応」はこの点に着目し、取り込んだ光学メディアをISO形式ファイルとして出力可能にした。また、Windows 98時代から作成してきたFCD形式ファイルなど過去の資産を保持しつつ、多くのイメージファイルを管理しているユーザーであれば、利便性が大きく向上することは間違いない(図03)。

図03 Windows 8がサポートしているのは、ISO形式ファイルのマウント/アンマウントや、光学メディアへの書き込みである

イメージファイルの管理面では、自動登録機能が威力を発揮するだろう。あらかじめ特定のフォルダーを登録しておくと、「CD革命/Virtual Ver.13 Windows 8対応」起動時に対象となるフォルダーを検索し、自動的にイメージファイルを登録するという機能で、以前の「CD革命/Virtual」で搭載した機能である。

最近ではNAS(Network-Attached Storage)を導入している方も多いが、このNASにイメージファイルを格納して共有フォルダーを作成。各コンピューター上の「CD革命/Virtual Ver.13 Windows 8対応」で同フォルダーを参照すれば、登録処理をバイパスできるだけでなく、使用するコンピューターを変更しても、同一のコンテンツを参照できるのは便利ではないだろうか(図04)。

図04 検索追加オプションでNASなどに作成した共有フォルダーを指定すれば、「CD革命/Virtual」起動時にマウント可能なイメージファイルを自動登録できる